最高裁判決への識者の評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 14:22 UTC 版)
「日本における国旗国歌問題」の記事における「最高裁判決への識者の評価」の解説
西原博史・早稲田大学教授判決は起立命令が思想・良心の自由に対する制約となり、合理性・必要性がなければ許されないことを明らかにした。そこが不明確だったピアノ伴奏判決よりも理論的には進化したが、どんな合理性・必要性があったのかは必ずしも明らかではない。「公務員として生徒に模範を示すべきだ」と判決が指摘したことは、生徒ら一般国民に起立義務が及ばないと考える根拠にはなる。だが、この命令が、上への忠誠よりも個人の信条が優先すると教えようとする教師を排除する「踏み絵」だった事実は最高裁に伝わっていない。 奥平康弘・東京大学名誉教授3人の補足意見を見ると「起立命令の合憲性はぎりぎりだ」という悲鳴が聞こえてくるようだ。結論はピアノ訴訟と同じだが、裁判官たちの判断の経緯に苦労がうかがえ、実質的に違憲判決に近くなった印象を受ける。 石井昌浩・教育評論家、元国立市教育長1審判決は、ひとたび少数派が「内心の自由が侵された」と叫べばどんな主張もまかり通るようなおかしな内容だった。国旗・国歌をめぐる訴訟では原告教師らがメディアに出ては、行政当局や校長がはじめから教員を処分する悪意を持っていたかのように断罪をする。しかし、実態はそうではない。はじめにあったのは国旗と国歌に対する彼らの執拗かつ陰湿な妨害行為であって、これを正すために職務命令が持ち出されたにすぎない。教育基本法改正で法的に問題は決着しており、後は学校現場が学びにふさわしい環境と秩序を取り戻すことだ。 百地章・日本大学教授妥当な判決。学習指導要領に基づいて生徒を指導すべき教師が職務命令に違反した以上、厳しい処分はやむを得ない。この判決で、国歌斉唱時の起立を巡る混乱が収束することを期待する。
※この「最高裁判決への識者の評価」の解説は、「日本における国旗国歌問題」の解説の一部です。
「最高裁判決への識者の評価」を含む「日本における国旗国歌問題」の記事については、「日本における国旗国歌問題」の概要を参照ください。
- 最高裁判決への識者の評価のページへのリンク