更新スキーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/11 05:32 UTC 版)
「非同期セル・オートマトン」の記事における「更新スキーム」の解説
いくつかの研究は非同期的なモデルを実現して、同期的なモデルとのふるまいの違いを発見した。Bersini and Detours (1994) は Conway のライフゲームが更新スキームにどれだけ敏感であるかを示した。どんな興味深いふるまいも非同期の場合には消えてしまう。Harvey and Bossomaier (1997) はランダムな 2 値のネットワーク (random boolean network) の確率的な更新は固定的アトラクタ (point attractor) だけを生みだす、つまり周期的なふるまいは起こらないことを指摘した。ただし、彼らは緩い周期アトラクタという概念を導入した。金田 (Kanada (1994)) は、同期的に更新されるときはカオスの淵のパターンを生成する 1 次元セル・オートマトンのモデルが、非同期かつランダムに更新されるときにはカオス的でないパターンを生成することを示した。Orponen (1997) はどのような同期的に更新される閾値のある論理ユニット(人工神経 参照)のネットワークも、更新順序に制約のないネットワークによってシミュレートできることを示した。Sipper et al. (1997) は特定の計算を実行する一様でないセル・オートマトンの進化をしらべた。これらのモデルにおいては全ノードが同一の更新規則に従うという通常の要件をゆるめている。これらのモデルにおいてはノードはブロックにまとめられる。すなわち、ブロック内のノードは同期的に更新されるが、各ブロックは非同期的に更新される。彼らは 3 つのスキームを実験した。(1) 各タイムステップにおいて 1 個のブロックがランダムに選択されて置換され、(2) 各タイムステップにおいて 1 個のブロックがランダムに選択されるが置換されず、(3) 各タイムステップにおいて 1 個のブロックが固定的な更新順序に従って選択される。 様々な型の非同期更新があり、様々な著者が様々なやり方でそれらを記述している。下図に示すスキームは次の通りである (Cornforth et al. 2005)。 同期スキーム - 全セルがタイムステップごとに並列に更新される。これが従来のモデルであり、比較のために記述している。 ランダム独立スキーム - 各タイムステップに 1 個のセルがランダムに選択されて更新される。 ランダム順序スキーム - 各タイムステップに全ノードがランダムな順序で更新される。 周期的スキーム - 各タイムステップに 1 個のノードが固定の更新順序に従って選択される。この順序はモデルの初期化時にランダムに決められる。 自己クロック (self-clocked) スキーム - 各セルは独立なタイマーを持ち、その周期とフェーズとはランダムに初期化される。その 1 周期が終わると、セルは更新されてタイマーがリセットされる。更新は自律的に起こり、異なるセルについては異なるレートで進行する。 自己同期 (self-sync) スキーム - 自己クロック・スキームと同様に、しかしタイマーのフェーズは近傍のセルとの局所的な結合によって影響され、そのために局所的な同期が実現される。 下記の時刻と状態との関係図は、他のパラメタが変化しないときの、セル・オートマトンのモデルの更新スキームの変化に起因する違いを示す。使用する規則 30 は各図に共通である。 もとの (同期的に更新される) 規則 30 ランダムに更新される規則 30 ランダムな順序で更新される規則 30 周期的な順序で更新される規則 30 自己クロック付きの規則 30 自己同期する規則 30
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