昭和六十三年度予算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 19:07 UTC 版)
「昭和三大馬鹿査定」の記事における「昭和六十三年度予算」の解説
12月28日、政府原案を決定。東北、北陸、九州・鹿児島の3つに合計150億円の建設費が計上された。しかし、執行には厳しい条件がつけられた。実質的には、政府側の慎重論に押される形となり、昭和六十三年度予算における整備新幹線問題の決着は、先送りされることになった。 東北・北陸・九州鹿児島の各ルートは順次建設に着手する 着工順位を決める 財源問題、並行在来線廃止問題の具体的方法に結論を得る 促進派は、内部分裂をまねきかねない「着工順位付け」を飲むところまで譲歩したが、大蔵省の硬い姿勢を突き崩すことができなかった。 しかし、昭和六十三年度政府予算案で公共事業費は対前年19.7%増で、整備新幹線以外では認められた新規事業もあった。リニアモーターカーに強い興味を持つ石原慎太郎運輸大臣の肝いりで新実験線の調査費が認められた。これにより以前からリニア実験線の誘致を表明していた山梨県や北海道、宮崎県などが誘致に動き出した。 またミニ新幹線方式による福島・山形間(山形新幹線)の建設も六十年度予算ですんなり認められていた。つまり、予算要求側も整備新幹線着工で一枚岩ではなかった。整備新幹線と関係のない地域選出の議員は「増えた建設関係予算を整備新幹線ばかりに取られてはたまらない」と、整備新幹線には終始冷ややかな態度であった。これまで整備新幹線着工要求はこれまで公共事業抑制政策の不満のはけ口としてのシンボル的な問題であった。しかし、日本内外からの内需拡大要求という要因で、公共事業費そのものは増額された。その状況下で、整備新幹線着工問題は相対化され、公共事業増大というシンボルとしての役割が低下しつつあった。ただ、先延ばしの決定には「田谷主計官の『バカ査定』発言はそれなりの効果を残した」という指摘もある。
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