日本国外の下請けの背景と現在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 07:47 UTC 版)
「日本国外のアニメ制作会社」の記事における「日本国外の下請けの背景と現在」の解説
1970年代頃からすでに海外への発注(下請け)子会社設立は始まっていたと言われており、手塚治虫を中心とした虫プロ(及び手塚プロダクション)と一部の会社は中国へ、その他の会社は韓国・台湾へ日本人スタッフを派遣して下請としての作業を指導した。この背景には日本から発注する際の運搬費用の安さと、安価な賃金で労働力が確保できた点が挙げられる。日本のみならず欧米の会社もアジア地域に下請依頼をしている。それらの下請け会社は中国、韓国を中心に台湾やベトナムなど東南アジアに集中し、北朝鮮でもその存在が確認されたことがある。だが、欧米は日本と異なり2Dでは無くて3Dアニメーションにて発注することが多い。 日本国外の下請けを有効に活用しているケースに東映動画(あとの東映アニメーション)がある。東映は1973年から1988年まで大元動画と提携し、提携解消後、フィリピンに地元企業の合弁会社「EEI-TOEI(後のToei Animation Philips)」を立ち上げ、作画から仕上、背景の作業を委託し、近年は独自のネットワーク回線を用いることで量産体制の維持に成功している。 しかしながら日本国外に下請けを出す場合、日本側が無茶なスケジューリングを行使する場合が多く、質よりも納品に間に合うため安く早く仕上げるといった点が重視されていた。そのため通常とは異なる仕上がりになったり、意図しない改変がされたりといったトラブルが頻発し、最悪の場合は日本国内で満足に修正する時間が取れず、「作画崩壊」と呼ばれる状態で放送されるケースも少なくなかった。国外下請けの依存によるクオリティ低下の批判が視聴者を中心に年々高まっていたこともあって、2007年をピークに、業界全体が質を重視する風潮に傾き始め、国外の技術向上もあいまって、全体的な質の向上をみることになった。 それに反比例するように、ネットワーク設備の発達も相まって、いわゆる「電送」を専門にした制作会社(動仕会社と呼ばれることもある)がここ数年で急増している。これらの制作会社は日本国内に自国外業務委託の窓口を設け、他の制作会社から預かった作画素材をスキャンしてインターネット回線を通じて国外の制作会社に動画と仕上げを発注し、彩色済みデータを日本国内の厳格なチェックを通して、素材とともに納品するといった工程を主としている。エンドクレジットにおいても電送専門の制作会社が記載されることが多い。
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