日本の汚染状況
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環境省が1974年から2004年の環境調査結果をまとめた「化学物質環境実態調査-化学物質と環境(平成17年度版)」報告では、(単位は、ng:ナノグラム nano = 10−9、µg:マイクログラム micro = 10−6) ベンゾ[a]ピレンは、水質調査(2002年度)では38か所中7か所(0.63~2.1ng/L)、底質からは62か所中57か所(0.34~1200ng/g- dry)で検出された。水生生物(魚類)は10か所のいずれでも検出されなかった。1989年の大気試料39検体中31検体(0.31~6.37ng/m3)から検出された。 ベンゾ[e]ピレンは底質(2002年度)からは13か所中すべてで(4.1~350ng/g-dry)検出された。同じ調査場所(13か所)の水質調査および水生生物(魚類)からはいずれも検出されなかった。1989年の大気試料39検体中29検体(0.30~5.43ng/m3)、1999年の大気試料32検体中30検体(0.074~3.7ng/m3)から検出された。 環境省が2007年にまとめたベンゾ[a]ピレンの環境リスクに関する報告書によると、環境管理局大気環境課、水環境部、水質保全局、環境保健部と日本食品分析センターが1999年から2006年にかけて実施した環境中のベンゾ[a]ピレン濃度の調査では一般環境大気、食物、公共用水域(淡水)でベンゾ[a]ピレンが検出された。(室内空気、飲料水と土壌に関しては調査されなかった。) 一般環境大気中では、最小0.01ng/m3、最大3ng/m3、平均0.3ng/m3で検出率は928/937であった。(2001 - 2004年) 食物では、最小0.0045µg/kg、最大0.035µg/kg、平均0.012µg/kgで全サンプル(50/50)から検出された。(2005年) 地下水では、2000年から2003年の間に100箇所で検査されたが検出下限値(10 - 15ng/L)以下であった。 公共用水域・淡水では10/560の検出率で、最大70ng/Lが検出された。 公共用水域・海水では107の地域の内3地域で検出されたがこの際の検出下限値が0.29ng/Lと高感度となっており、検出値は1.9ng/Lであったがこれは他年度の調査での検出下限値(10 - 15ng/L)以下である。 これらの調査結果から、体重50kgの人の1日の呼吸量15m3、飲水量2リットル、食事量2kgとして人の1日の総ばく露量(吸入ばく露換算)を算出した結果、平均ばく露量が0.00053+0.0006µg/kg(体重)/日、最大ばく露量が0.0023+0.0006μg/kg(体重)/日(体重50kgの人で最大0.145µg/日)と無視出来ない値であり、経口および吸入によるばく露で非発がん影響及び発がん性の観点から詳細な評価を行う必要があると報告した。 日本人のばく露量の推定に関しては、大気や水からのばく露より食品からのものが大きいと想定されているが、食品中のベンゾ[a]ピレンの含有量のデータが十分で無いため、調査が必要であると報告されている。汚染源はかつお節およびその加工品、直火で料理される焼き肉、焼き鳥、焼き魚などと推察されている。
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