文化、法への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 04:45 UTC 版)
「ブランドン・ティーナ」の記事における「文化、法への影響」の解説
ブランドンはホルモン補充療法(HR)も性別適合手術も行っていなかったため、メディアでも彼はレズビアンだと報道されていた。ただ、性別適合手術を受けるつもりだったと報じたところもあった。 母ジョアンはリチャードソン郡とルークス保安官を、娘ティーナの死を間接的に引き起こしたとして訴え、勝訴して8万ドル以上の慰謝料を得た。ルークス保安官は、ブランドンが亡くなったあとに彼を「it」と呼んだとして批判されたが、スクールバスの運転手に落ち着くまで、郡や地域の委員などを勤め続けた。今日でもこの件で自分が取った行動について語るのを拒み、事件からちょうど20年後にコンタクトを取ろうとしたリポーターに罵声を浴びせるなどしている。 1999年にはブランドンを題材とし伝記映画『ボーイズ・ドント・クライ』が作られた。キンバリー・ピアースがメガホンを取り、ブランドン役をヒラリー・スワンクが、ティスベル役をクロエ・セヴィニーが演じ、スワンクはアカデミー主演女優賞を受賞し、セヴィニーは助演女優賞にノミネートされた。実際のティスベルは映画公開前にプロデューサーたちを相手取り、名前と肖像の無断使用だとして裁判を起こした。「怠け者で、ホワイトトラッシュ(白人低所得層の蔑称)で、極めて不快な悪意のある人間」として自分を描いていると主張し、またブランドンがトランスジェンダーだと分かったのちもティスベルが彼と付き合い続けたという部分が誤りであるとした(結局、いくらか不明だが和解金を受け取ることで訴えを取り下げた)。 母ジョアンはメディアが自分の子を「彼」や「ブランドン」と呼ぶことを公的に拒絶した。ヒラリー・スワンクがオスカーを受けとった際のスピーチで、「ブランドン・ティーナ」(娘ティーナが使用していた男性名)に感謝を述べたこと、娘ティーナを男性と言及したことを批判した。「カッとなりました」と母ジョアンは述べている。「彼女(スワンク)はあそこに立つべきじゃないし、私の子に感謝を言うべきでもない。よく知りもしないこと(私の子のこと)を使って称賛されたがる連中に私はうんざりなんです。」 イギリスのポピュラー音楽デュオペット・ショップ・ボーイズはブランドンをモデルに「Girls Don't Cry」という曲を、カナダのガレージロックバンドJPNSGRLSも「Brandon」という曲をリリースしている。 1998年にはワイオミング大学に通うマシュー・シェパードとジェームズ・バード・ジュニアがヘイトクライムによる暴行で亡くなり、ブランドンの事件のショックとともにヘイトクライム禁止法制定の機運が高まることとなる。1999年にビル・クリントン大統領が提出した法案は議会の不同意により成立せず、2007年「マシュー・シェパード法」として民主党議員ジョン・コニャーズが発案した法案は、連邦議会上院を通過したもののジョージ・W・ブッシュ大統領の拒否権行使で成立しなかった。ナンシー・ペロシ下院議長は2008年に法案を成立させようとしたが、結局法案はバラク・オバマの大統領就任後の2009年に上院を通過し、大統領が10月28日に署名したことにより成立した。
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