文体の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 21:49 UTC 版)
「テサロニケの信徒への手紙二」の記事における「文体の違い」の解説
第二テサロニケ書は、第一テサロニケ書に比べると、パウロが受け手に対して示す親密な度合いが弱まっているということがしばしば指摘されている。この点については、パウロが感情の抑制を苦手にしていたことから説明できるかどうかが争点になるが、いずれであっても、真正・擬似の判定の決め手とするには弱いとも指摘されている。 本書簡に2回登場する「父なる神と主イエス・キリスト」という言い回しは、写本によっては他のパウロ書簡と異なる言い回しとなり、父なる神とイエスをまったく同一視する意味を持ち、非パウロ的な論拠とされることもあるが、擬似書簡の立場を採る論者たちにも、そうした読みに否定的見解を示す者たちはいる。「主」や「イエス」の表現については、真正パウロ書簡では前置詞enの直後で必ず「キリスト・イエス」の順になるべきところが、この書簡では「イエス・キリスト」の順になっていることや、イエスの語に必ず「主」を冠するという他の書簡に見られない特色を持っていることなどに、疑問を呈する者もいる。 また、擬似パウロ書簡と見なしている田川建三は、擬似パウロ書簡に共通する傾向として、長文癖、類語反復、同義語好みを挙げており、実際、第1章3節から10節は(和訳では複数の文に区切られるのが普通だが)それで一文をなしている。ただし、田川も、そうした特色は他の擬似パウロ書簡に比べて、第二テサロニケ書ではかなり少ないことを認めている。 その一方、真正パウロ書簡と見なすアルブレヒト・エプケの注解書では、第二テサロニケ書の用語も文体もパウロ的であると明言されている。
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