文体の位相差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 05:59 UTC 版)
談話の文体(話体)は、話し手の性別・年齢・職業・場面など、位相の違いによって左右される部分が大きい。「ごはんを食べてきました」という丁寧体は、話し手の属性によって、たとえば、次のような変容がある。 ごはん食べてきたよ。(子どもや一般人のくだけた文体) めし食ってきたぜ。(SNSや学生の粗野な文体) 食事を取ってまいりました。(成人の改まった文体) このように異なる言葉遣いのそれぞれを位相語と言い、それぞれの差を位相差という。 物語作品やメディアにおいて、位相が極端にステレオタイプ化されて現実と乖離したり、あるいは書き手などが仮想的(バーチャル)な位相を意図的に作り出したりする場合がある。このような言葉遣いを「役割語」と称することがある。例えば以下の文体は、実際の性別・博士・令嬢・地方出身者などの一般的な位相を反映したものではないものの、小説・漫画・アニメ・ドラマなどで、仮想的にそれらしい感じを与える文体として広く観察される。これは現代に始まったものではなく、近世や近代の文献にも役割語の例が認められる(仮名垣魯文『西洋道中膝栗毛』に現れる外国人らしい言葉遣いなど)。 ごはん食べてきたわよ。(目上の女性) わしは、食事をしてきたのじゃ。(博士風) わたくし、お食事をいただいてまいりましてよ。(お嬢様風) おら、めし食ってきただよ。(田舎者風) ワタシ、ごはん食べてきたアルヨ。(中国人風。協和語を参照)
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