救助工作車 IV型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 04:57 UTC 版)
III型と同じく阪神・淡路大震災後に設定された震災用救助車両。IV型は大規模災害派遣時に緊急消防援助隊として航空自衛隊のC-130及びC-2で輸送される事を前提としている。2台一組で運用される。 平成8年に自治省(現在の総務省)消防庁が指定した東京消防庁、大阪市消防局、名古屋市消防局、福岡市消防局の各本部に無償配備された。一隊につき2台を1組としてペアで運用される。総務省消防庁が配備した初代の車両はトヨタ・スーパーダイナの2tシャーシをベースにモリタが架装しており、足回りと4駆のメカニズムはメガクルーザーの機構を採用していた。配置先のうち、大阪市消防局は平成19年度に2台とも日野・デュトロ4WDベースの車両(市が単独で購入。架装はモリタ)に更新し、東京消防庁は2010年に、名古屋市消防局は2012年にそれぞれいすゞ・エルフベースの車両に更新され福岡市も日野デュトロに更新された。 当初は自治体単独で導入するのではなく、総務省消防庁から指定を受けた本部にのみの配備であったが、浜松市消防局が市単独でダブルキャブ・ポンプ搭載型とシングルキャブ・資機材搬送特化型としたIV型車両を山岳地帯を管轄する天竜消防署に配備した。2012年にさいたま市消防局も、市単独で大宮消防署特別高度救助隊の救助工作車III型をIV型で初めてのバス型車両に更新している。6本部の共通点は、政令指定都市であり、行政区内にIV型車両を輸送するC-130輸送機の離着陸が可能な空港などの施設がある事である。また、大阪市消防局では狭隘な地区が多数ある事から、車輌が直近部署できない事が多く、迅速な救助活動に支障をきたす事から救助工作車をIII型3台以外すべてIV型に更新した。 2013年には、総務省消防庁が大規模震災用高度救助車として高圧エンジンコンプレッサーを装備したERと、空気充填用電動コンプレッサーを装備したARを、横浜市消防局・京都市消防局・浜松市消防局に配備した。大規模震災用高度救助車ER及びARは規格上、救助工作車IV型であるため、2台一組で運用される。 2013年10月16日に発生した平成25年台風第26号災害で、被害の大きかった伊豆大島に、消防相互応援協定として東京消防庁から救助工作車IV型が派遣された。平成30年7月豪雨では京都市消防局 の大規模震災用高度救助車の電源を活用した削岩作業を行った。 2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では北海道初の震度7を観測し、大規模土砂災害 による家屋倒壊等の甚大な被害を受けた厚真町へ緊急消防援助隊 として派遣された。主な隊は神奈川県隊として横浜市消防局の大規模震災用高度救助車ER及びARが入間基地から第403飛行隊所属C-2輸送機 を使用し千歳基地経由で被災地へ派遣され、東京都隊として東京消防庁 の救助工作車IV型(2台一組)が大洗港からフェリーを使用し苫小牧港経由で被災地へ派遣された。なお、省庁間協力として総務省消防庁からの依頼に基づいた航空自衛隊による緊急消防援助隊IV型救助工作車の輸送でC-2輸送機を使用した初めての事例となった。 初代(無償配備)車両東京消防庁 2代目(更新)車両東京消防庁 2代目(更新)車両大阪市消防局 大規模震災用高度救助車(ER)横浜市消防局 バス型車両さいたま市消防局
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