授業時間の大幅な削減
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 07:41 UTC 版)
ユネスコは、1974年に「技術および労働の世界への手ほどきは、これがなければ、普通教育が不完全になるような普通教育の本質的な構成要素になるべきである」という「技術・職業教育に関する改正勧告」を出した。そして、15年後の1989年、「技術教育および職業教育に関する条約」がユネスコ第25回総会において採択され、その第3条2項(a)において、「普通教育として、すべての子どもに対する技術および労働の世界への手ほどき……を提供しなければならない」と規定された。 しかし、日本の技術・家庭科の学習時間は年々減少している。技術分野に限って言うと、1958年公示の学習指導要領では男子のみ各学年105時間あったものが、1977年公示の学習指導要領で、男女ともに両分野を学び始めるという前提で「1・2年70時間、3年生105時間+選択35時間」となったため、技術分野を学ぶ時間が実質的に減少した。すでにこのころには「ゆとりと充実」のもとに学習指導要領が組み立てられており、技術科ができた当時の「科学教育の振興」という目的は変容してしまった。 さらに、1989年公示のいわゆるゆとり教育の指導要領では、選択科目が「2年生35時間、3年生70時間」に増えたものの、必修の時間数が「3年生が70時間~105時間」(技術科としては、その半分)となった。さらに、1998年公示のものでは「1・2年70時間、3年生35時間」(技術科としては、その半分)と必修の時間が大幅に減らされ、ほとんどが選択科目として「1年0~30時間、2年生50~85時間、3年生105~165時間」とされてしまった。 現行の2008年告示、2012年完全施行の学習指導要領では、その選択科目も実質上なくなり、技術・家庭として「1・2年70時間、3年生35時間」、すなわち技術科単体では「1・2年35時間、3年生17.5時間」しか時間が与えられていない。この中で4つの分野(材料と加工(木材・金属など)、エネルギー変換(機械・電気)、生物育成(栽培・飼育)、情報(制御・プログラム・情報発信))と前回告示の学習指導要領から大幅に増えた内容の授業を行う必要があり、「その矛盾は大き」く、「技術の真の学力を育てるのは難しい」という指摘も出ている。
※この「授業時間の大幅な削減」の解説は、「技術科教育」の解説の一部です。
「授業時間の大幅な削減」を含む「技術科教育」の記事については、「技術科教育」の概要を参照ください。
- 授業時間の大幅な削減のページへのリンク