授業書の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 07:32 UTC 版)
仮説実験授業では「授業書」というものを使って授業するが、そのひとつ〈光と虫めがね〉の問題を紹介する。 問題1①虫めがねで、夜の明るい月の光を集めて新聞紙を燃やすことができるでしょうか。 予想ア 月の光は集められない。 イ 月の光は集められるが、新聞紙を燃やすのは無理。 ウ 新聞紙を燃やすことができる。 ②白い紙の上に夜明るい月の光を集めたら、太陽の光のときと同じように丸い形になるでしょうか。 予想ア 月の光は集められない。 イ 小さい点のような丸い形に集まる。 ウ 小さい点のように集まるが、月の形になる。 エ その他。 子どもたちの予想は①ではアとイが多い。②もアとイが多い。実験結果は省略するが、この問題は光の性質や虫めがねについて多少知っているつもりの大人でも、なかなか自信を持って予想することはむずかしい。科学の力は未知のこと、自分がまだ知らないことを正しく予言できることができるようになって、「あることを知った」ということを意味する。これはクイズでは絶対に実現できず、系統的に原理原則をつかまなければならないと板倉は考えた。 この授業書は、子どもたちがさまざまな側面からの問いかけと実験を楽しく繰り返しながら、光とレンズの働きについての科学的認識に至る経験を得られるように作られている。この授業書が終わる頃には光とレンズについてほとんどの子どもたちが、自分が獲得した科学的認識を使って、未知の問題の結果を予想できるようになる。仮説実験授業ではこのようなことが実現できてこそ科学教育であるとした。
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