据え置き式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/12 04:29 UTC 版)
プロのオーケストラ、コンサート・バンド、ビッグバンドは一般的に、持ち運びが難しい据え置き式の重い譜面台を使う。この種の譜面台は演奏者の黒い服に溶け込んで邪魔にならないように、黒く着色、塗装されているものが多い。楽譜を置く部分はプラスチック製のものと金属製のものがあるが、どちらであっても支柱部分は金属製である。楽譜を置く部分の下に棚を備えているものもあり、鉛筆や弦楽器用のロジン、リハーサル用の器具などを入れておくことができる。高さを調節するために金属製の支柱を上げ下げできる。プロ用の譜面台は、座っている演奏者のために高さを下げたり、立っている演奏者のために高さを上げたりすることができる。重量を軽くするために譜面ラックにミシン目が入っているものも存在するが、これは特に大量の譜面台を運ぶことを考慮されたものである。 これらの譜面台は高さを下げることはできるが、畳んだり広げたりできない。したがって、単身でリハーサルやライブを渡り歩く音楽家にはあまり使われない。この譜面台を動かすことはできるが、フルオーケストラでは50個から100個の譜面台を動かす必要があり、ラックが重いため、運搬トラックや設置するための人員を雇う必要がある。プロ用の譜面台は三脚か四脚であるか、重い金属製の円形の脚を持つことが多い。 すべてのリハーサルやライブに据え置き式のプロ用譜面台を使う音楽家もいるが、その場合、機材をホールに運び込むための移動がより困難になる。そのような音楽家が据え置き式譜面台を使う理由は、重いものや重い楽譜を載せても安定性があること、屋外での演奏でも倒れにくいこと、プロらしく見えることなどがある。また、譜面台の下部に備えられた棚を使い、リハーサルや本番に必要な音楽小物(鉛筆、弦楽器用ロジン、ギター用ピック、木管楽器用リード、金管楽器用バルブオイル、打楽器用チューニングキーなど)を入れておきたいと考える演奏家もいる。 また、木製や金属製の高価な据え置き式譜面台を自宅や音楽スタジオに持っている音楽家もいる。これらの譜面台は持ち運びを考慮されていない。重量や繊細な仕上げのため、これらは個人宅などの一か所でのみ使われるよう意図されている。重量のある譜面台の中には、彫刻された木材で作られ、ローレリーフの彫刻や象嵌細工が施されたものもある。また、ト音記号のような音楽的な意匠が施された真鍮製の譜面台もある。これらの譜面台の中には、それ自体が芸術作品となっているものもある。
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