捏造の疑惑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 04:44 UTC 版)
異論は、付着物の発見経緯についても唱えられている。捜査記録によると、事件2日後の12月22日午前中に遠藤の職場を訪れた岩沼署の2人の警官は(上記参照)、その際に遠藤車を見分した段階で、右後輪にシミと毛髪 (1, 2) が付着していたことを確認していた、とされている。これについて弁護側は、記録が正しいとするならば、なぜ警官たちはシミを発見した時点で遠藤車の証拠保全を行わず、あまつさえ被疑者自身にトラックを運転させて署まで運ばせたのか、と疑義を呈した。そして、そもそも事件直後に遠藤車は福島県警喜多方署西会津派出所前で検問を受けているのに(上記参照)、付着物が見過ごされることがあるのだろうか、とも指摘した。 このように付着物の発見経緯が不自然であったことから、遠藤の支援者の一部には、遠藤が岩沼署へトラックを運んだ直後、彼が昼食のために署を離れた隙(上記参照)に付着物が捏造されたのだと主張する者もいる(後の国家賠償請求訴訟で原告側応援団長を務めた弁護士の庭山英雄など)。 しかし物証の捏造説に対しては、付着物が意図的に付けられたものにしては、その事件性が後の工学鑑定で強く否定されるなど(下記参照)、工作があまりに稚拙であること。昼食を終えた遠藤が署に戻った際にはすでにシミが乾燥していたこと。そもそも管轄外の事件に対して岩沼署がそうまでして解決を焦る理由がないこと。そして何より、付着物が発見された後も遠藤が逮捕されることはついになかったこと、などの理由から、支援者の側からも否定の声が強い。支援者のうち捏造説を否定する側からは、シミの正体は遠藤の職場から岩沼署までの4キロの道中で踏んだ泥、あるいは接触した縁石の跡である、といった推測がなされている(支援者らが実際に人血を用いて行った実験では、「タイヤは血液をはじく」との結果が得られている)。 これに対し捏造説を主張する側は、警察の手口はまず遠藤に物証を突きつけて自白させ、送検した後も犯人が挙がらない場合は略式手続にかける、というものであったと推測している。
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