指定外の避難所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 03:24 UTC 版)
災害発生時、様々な理由から、予め自治体が定めている指定避難所以外の場所に滞在して生活する被災住民がしばしばみられる。こうした被災住民は、行政・地域による安否確認が難しい、物資などの支援が行き届きにくいなどの課題があるとされている。 避難所以外で過ごす理由としては、指定避難所が満杯である、プライバシーや防犯上の懸念がある、乳幼児や介護の必要な者がいて迷惑をかけたくない・周囲の目が気になる、また、地震や津波等で指定避難所が被災して使えなくなった・余震などで安全性に不安が生じた、避難所の過密を避けたい、ペットと一緒に避難ができない、避難所への距離が遠い・移動手段がないなど、多様な理由が報告されている。 被災していない親類や友人の家に避難する事例や、公民館・集会所、廃校、行政施設などの(指定外の、あるいは避難所ではなく一時の緊急避難場所に指定された)公共施設に避難する事例があるほか、寺院など宗教施設、老人ホームや保育所などの福祉施設、宿泊施設、飲食店など、住民によく知られた公共性・公益性の高いところに避難する事例がある。これらのような施設がない地域では、民間の施設や近隣の個人の住宅といった公共性・公益性の高くないところに避難した事例もある(東日本大震災など)。 自宅敷地や広場などにて自家用車で寝泊まりすることを車中避難・車中泊と呼び、狭隘なためエコノミークラス症候群の危険性が高いことが知られている。公共施設敷地のほか、スーパーやコンビニの駐車場など車を置き滞在する事例もある(熊本地震)。 また、自宅が損壊しながらも、損壊の程度が軽い部屋などでライフラインの制限を受けながら過ごす在宅避難、 自宅敷地内の物置小屋や倉庫、農業用ハウス、テントなどを代用し”仮住まい”として過ごす軒先避難という言葉は、東日本大震災や熊本地震を契機に使われ知られるようになった。 こうした指定外の避難者の課題に対して、行政などの支援側はその把握に努めるべき、また住民側も避難所・避難者の存在を知らせ支援を求める情報発信を行うよう努めるべきという指摘がある。
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