押韻構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 04:50 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動押韻構成(おういんこうせい、または押韻配列、押韻スキーム、英語:rhyme scheme, ライムスキーム)は、詩または歌で、行の押韻のパターンのこと。押韻は行の最後の部分にされるので、end rhymes(脚韻、終末韻)のパターン、つまり、脚韻構成(または脚韻配列、脚韻パターン)と言うこともできる。
押韻構成は通常、ABCなどの文字を使って、各行にどんな押韻がされているかを表す。例えば、「ABAB」は4行からなるスタンザ(詩節、連、節)で、第1行と第3行に「A」、第2行と第4行に「B」の押韻がされていることを示している。例として、ロバート・ヘリック(en:Robert Herrick (poet))の詩『To Anthea, Who May Command Him Any Thing』を挙げる。(太字は押韻されている語)
- Bid me to weep, and I will weep, - "A"
- While I have eyes to see; - "B"
- And having none, and yet I will keep - "A"
- A heart to weep for thee. - "B"
押韻構成は、読み手に特別な効果を起こさせるための独自の関連と響きを持った多くの形式がある。単独のスタンザに適用される押韻構成と、詩全体を通してそのパターンを続ける押韻構成との間には、基本的な違いがある。
複雑なパターンで厳密な言葉を繰り返すことを求められるセスティーナ(六行六連詩)のように、複雑に絡む形式もある。英語では、高度な反復的押韻構成は珍しい。例えば、英語はイタリア語より多くの母音の響きを持っていて、それは、イタリア語より英語の方がパターンに制限があることを意味している。つまり、決められたスキームにぴったり合う語が少なくなるのである。たとえば、ダンテ・アリギエーリが『神曲』で使ったテルツァ・リーマ(三韻句法)は「aba bcb cdc ded...」という押韻構成で、これを英語でやることはきわめて難しい。
押韻構成の種類
Chant royal
王侯用詩形。「ababccddedE」が5スタンザ続いて、その後に「ddedE」か「ccddedE」が続く。大文字はまったく同じ語の繰り返しである。
Cinquain
五行連(句)。英語詩(English quintain)では「ABABB」だが、Sicilian quintain、Quintellaでは異なる。
Clerihew
クレリヒュー、人物四行詩、風刺四行詩。「AABB」。
Couplet
二行連(句)、対句、カプレット、カプリット、クプレ。「AA」だが、通常、「AABBCCDD...」として現れる。
Enclosed rhyme
enclosing rhymeとも言う。「abba」。詳細とサンプルはen:Enclosed rhymeを参照。
Limerick
リメリックまたはリマリック、リムリック、滑稽五行詩、五行戯詩。「aabba」。
Monorhyme
「AAAAA」。各行が同一の押韻で、ラテン語詩、アラビア語詩で一般的。詳細はen: Monorhymeを参照。
Ottava rima
オッターヴァ・リーマ、八行詩体。「ABABABCC」。
Rhyme royal
帝王韻律、帝王韻(詩)、ライム・ロイヤル。「ababbcc」。
Rondelet
「AbAabbA」。詳細とサンプルはen:Rondeletを参照。
Rubaiyat
ルバーイイ、ルバイヤート風四行連句。「aaba」。詳細はen:Ruba'iを参照。
Scottish Stanza
バーンズ連(Burns stanza)とも呼ばれる。「AAABAB」。ロバート・バーンズが『To a Mouse』(en:To a Mouse)などで使った。
ソネット
- Petrarchan sonnet(ペトラルカ風ソネット) - 「abba abba cdc ece」または「abba abba cdc cdc」。
- Shakespearean sonnet(シェイクスピア風ソネット、シェークスピア風十四行詩) - 「abab cdcd efef gg」。
- Simple 4-line - 「abcb」。詳細とサンプルはen:Simple 4-lineを参照。
- Spenserian sonnet(スペンサー風ソネット) - 「abab bcbc cdcd ee」。
- Onegin stanza(オネーギン・スタンザ、オネーギン連) - 「aBaBccDDeFFeGG」。小文字は女性韻、大文字は男性韻。iambic tetrameter(弱強四歩格)で書かれる。
Spenserian stanza
スペンサー詩体、スペンサー連。「ababbcbcc」。
Tanaga
伝統的なタガログ語のTanagaは「aaaa」。詳細とサンプルはen:Tanagaを参照。
Terza rima
テルツァ・リーマ、三韻句法。「aba bcb cdc ...」と続き、最後は「yzy z」か「yzy zz」で終わる。
Triplet
Tercetとも。三行連(句)、トリプレット、テルツェット、テルチェット。「aaa」。二行連句のように繰り返すことが多い。
Villanelle
ヴィラネル。「A1bA2 abA1 abA2 abA1 abA2 abA1A2」。A1とA2はそれぞれ同じ語を繰り返し、aと同じ押韻。
Sestina
セスティーナ、六行六連詩。「abcdef faebdc cfdabe ecbfad deacfb bdfeca」。続く7つめのスタンザは三行連句である。
外部リンク
- Lingua::Rhyme::FindScheme — Perl module to find the rhyme scheme of a given text.
- Rhyming dictionary
押韻構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 05:34 UTC 版)
詳細は「押韻構成」を参照 現代ヨーロッパ諸語、アラビア語、中国語を含む数多くの言語で、バラッド・ソネット・二行連といった詩の形式を構成する要素として詩人たちは一定のパターンに沿って脚韻を用いてきた。しかしながら、構造的な脚韻の用法はヨーロッパの伝統の中においてすら普遍的なものではない。現代の詩は伝統的な押韻構成を避けるものも多い。古典ギリシア・ラテンの詩は押韻を行わなかった。脚韻は中世盛期(11-13世紀頃)に、部分的にはアンダルス(今日のスペイン)のアラビア語の影響下でヨーロッパに移入された。アラビア語の詩人たちは6世紀のアラビア文芸の発達初期からその長大なカスィーダ (en:qasida) において大々的に脚韻を用いていた。中国では紀元前の『詩経』『楚辞』で既に押韻が行われていた。押韻構成の一部は特定の言語・文化・時代と結び付いたものとなり、一部はそれらを跨って使用されるものとなった。詩の形式の中には王侯用詩形やルバーイイのように明確に定義された一貫した押韻構成を持つものもある一方で、可変の押韻構成を持つものもある。 押韻構成の大半は脚韻の組に対応する文字によって表せる。例えば四行詩の第1・2・4行が韻を踏み、第3行が踏まないとすると、この四行詩は「a-a-b-a」の押韻構成を持つと言う。この押韻構成はルバーイイ形式などで用いられるものである。同様に、「a-b-b-a」の四行詩は(抱擁韻、en:enclosed rhyme と呼ばれ)、ペトラルカ風ソネットなどの形式で用いられる。より複雑な押韻構成の中には、オッターヴァ・リーマやテルツァ・リーマのように「a-b-c」式の構成を離れ、独自の名前を持つようになったものもある。さまざまな押韻構成の種類や方法については「押韻構成」の項を参照。
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