批判と限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 08:56 UTC 版)
「エコロジカル・フットプリント」の記事における「批判と限界」の解説
EFを用いたアプローチは、様々な理由に基づき批判を浴びてきた。良く取り上げられるのは1999年に公表された初期の批評である。2008年5月に欧州委員会環境総局へ答申された報告書には、これまでのEFに対する評価の中で、最新の独立した評価が記載されている。これまで提示されたEFへの批判とそれに対する反論については、次のようなものがある。 論点1 (批評)EF計算は不完全で不正確である。 (反論)確かにその通りであり、全ての人間活動を計上したものではない。しかしながら、人間活動による影響を内輪で見積もり、少なくとも計算された大きさの影響が生じていることを示している。生物生産力と比較して、オーバーシュートしていることが判明した場合に、警告を与える指標としては十分に有用である。 論点2 (批評)生物生産力は技術革新で向上させることができ、環境収容力も向上させることができるのではないか。 (反論)EFは生物生産力の変化を表す指標ではない。EFは分析時点での環境への負荷を示す指標である。技術革新自体は有用であるが、技術の発展した国(表3.高所得国)とそうではない国々を比較するとわかるように、技術の発展は個人あたりのEFを増加させる傾向がある。 論点3 (批評)異なる土地形態の合算は、土地利用の代替性を前提としているが、成り立たない。 (反論)EFは情報を集約した指標の一つである。そういった指標の構成要素は、必ずしも交換可能である必要が無い。 論点4 (批評)特定の国・地域でオーバーシュートが起きているとしても、貿易で補っているので問題は無い。また、特定の国・地域では、自給自足できるほどの生物生産力を元々持っていない。 (反論)貿易自体を否定するものではない。全世界的な生物生産力の再配分を考えたとき、局地的な過剰消費について再考を求める指標として、EFは有用である。EFがオーバーシュート状態であると言うことは、自然資本の消耗を意味する。したがって、地球全体でのオーバーシュートは解消されなければならない。 論点5 (批評)化石燃料のEFを、二酸化炭素吸収地として示すのは不適切ではないか? 相当する量のバイオマス燃料生産に必要な面積や、相当するエネルギー量のバイオマス再生産に必要な面積で表すべきではないか? (反論)3種類の面積の計算では、二酸化炭素吸収地が最小になるため、これを採用している。
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