戦力の低下
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 07:03 UTC 版)
ワシントンを拠点とする戦略国際問題研究所のAram Nerguizianによれば、2012年7月までのシリア陸軍からの脱走者の規模は、定量化するのは難しいが、陸軍の戦力に影響を与えるには小さすぎたという。シリア軍の戦略的に重要な部隊は、常にアラウィー派の将校によって管理されている。シリア人権監視団によると、2012年7月までに脱走した「数万人の」兵士は主に重要な指揮統制権にアクセスできないスンニ派であるとNerguizianは述べたが、2012年7月18日のダマスカス爆弾テロ事件で死亡したシリア国防相のダーウド・ラージハはキリスト教徒であった。 アナリストのジョセフ・ホリデイは2013年に、「アサド政権は紛争が始まった当初から、大規模な脱走の危険を冒さずに全軍を動員することができなかった。アサド政権が軍隊を動員する上で直面した唯一の最大の障害は、反体制派を残忍に扱う命令を実行する部隊に依存するという課題であった」と記述している。これにより、バシャールは父親の前例に従い、陸軍の正規部隊をより信頼できる部隊(特殊部隊、共和国防衛隊、または第4機甲師団)に配属させることになった。1982年にハーフィズ・アル=アサドがハマの反乱鎮圧を指示したときもこの手法が使用された。 シリア内戦が長引くにつれて、シリア陸軍は深刻な徴兵問題に苦しんでおり、宗派を超えた軍人年齢の男性はもはや入隊も徴兵期間にも応じようとはしない。これらの問題は、特にドゥルーズ派人々の間で顕著であり、彼らは政権の治安部隊と衝突し、強制徴兵で政権に拘留されていたドゥルーズ派の若者を解放して軍への入隊を回避させた。アサドのアラウィー派の支持基盤は、彼らのコミュニティの軍人年齢の男性の死傷率が非常に高いため、息子を軍隊に送ることをますます拒否するようになっている。反体制派の情報筋によると、戦闘年齢の25万人のアラウィー派男性の3分の1がシリア内戦で死亡し、宗派とシリア政府の間に大きな緊張が生じているという。 2018年半ばの時点で、当時のイスラエル国防相のアヴィグドール・リーベルマンは、シリア陸軍はシリア内戦初期の人員不足から回復し、2011年以前の戦力水準を取り戻したと述べた。
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