強盗説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 15:13 UTC 版)
「八王子スーパー強盗殺人事件」の記事における「強盗説」の解説
犯人がナンペイ大和田店の売上金を強奪する目的で事務所内に押し入ったと推測される理由としては、以下のことが挙げられる。 本事件が起こる前からこのスーパーの事務所は、何度も空き巣に入られていた。営業中は事務所の入り口に鍵が掛けられていないことが多かったという。それは夜間においても同じだった。本件スーパーは「不用心でセキュリティが甘いスーパー」として近所でも有名な存在だった。売上金をレジから金庫に移す際には、従業員が売上金をレジの引き出しごと抜き取り、スーパーの外部に一旦出てから外通路を通り、駐車場に面した外階段を登って2階事務所に入ってから金庫に保管していた。この措置はスーパーの構造上、内部を経由して2階事務所に入れないようになっていたことによる。現金を剥き出しのまま外部を経由して運んでいる様子を近所の住人らは皆が見て知っていたということからも、本件スーパーの防犯には問題があったといえる。しかも夜間勤務を女性従業員だけに任せていたことも多く、事件当夜がまさにその状況であった。被害者であるパート従業員Aは、スーパーの防犯対策について日頃から周囲の人物に不安を漏らしていたことも明らかになっており、その不安によって一時的に店を辞めていたこともあったという。そのような状況があることから、現金強奪を目的とする犯行グループなどが本件スーパーの状況や情報を容易く掴んでいたことからターゲットとして狙われた可能性もある。本件が発生した同じ時期に、多摩地域を中心に夜間のスーパーなどの事務所を狙った短銃強盗事件が多発しており、それら事件の犯行手口が本件と非常に酷似している点からも、同じ犯行グループが関与しているのではないかとする見方もあることから強盗説が考えられている。本件は実際に夜間閉店後のスーパー事務所内で犯行が行われており、被害者3人が帰宅するために事務所を後にしたとき、外で待ち伏せていた犯人に拳銃で脅され、再び事務所内に押し戻され、被害者がガムテープで緊縛された状況がある。「日中混成強盗団」の元メンバーだった人物らの証言の中で、たびたび本件やナンペイ大和田店の話が出てきていることからも現金強奪を企てる者の間では情報が共有されていた可能性もあり、強盗説は有力だとする見方もある。 金庫のダイヤルナンバーをすぐに割り出せなかった可能性がある。金庫には鍵が差し込まれたままになっていた。これは犯人が被害者Aを脅して金庫を開けさせようとした形跡だと考えられている。アルバイト高校生従業員2人をガムテープで緊縛し、身の自由を制限しようとしていたことも強盗を伺わせる要素である。しかし犯人は何らかの理由でAに金庫を開けさせるまでには至らず、途中で高校生2人を縛ることも止めて、短時間のうちに3人を射殺した。そのことで犯人は気が動転したのか、または犯行の計画が狂ったからなのか、すぐさま逃走を図ったという経緯も考えられる。犯人が発砲した銃弾は全部で5発である。4発は被害者を狙って発砲したが、残りの1発は金庫の扉に向かって発砲しており、銃弾は机の下から発見された。被害者3人を威嚇して制圧する目的で1発目に金庫へ発砲したと考えられているが、金庫もしくは中の現金に何らかの執着があったことで逃走直前に5発目を金庫に向けて発砲したとも考えられる。 事件発生当日、スーパーの周辺では不審人物が数名目撃されていた。店内を覗き込むように見ていた中年男性、何も買わずに売場をうろついていた中年男性、スーパー前の道路を乗用車が徐行して通り過ぎるときに店内を覗き込むように見ていた運転手の男性、閉店後の外通路で車のライトが当たると顔を背けて足早に立ち去った男性などの存在である。
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