建築物における柔構造とは? わかりやすく解説

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建築物における柔構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 13:52 UTC 版)

柔構造」の記事における「建築物における柔構造」の解説

構造物外力に耐えさせる考え方として、一つは、外力そのまま構造体全体入力する剛構造」がある。実際の構造計算においては想定される外力十分な時間わたって作用し続けると仮定した静的解析を行うことが主流であるが、結果として外力を生のまま全て受け止める形式になる。この考え方は、固有周期の短い構造体が受ける地震力に近く、現在でも中低層の建築物における構造計算では主流となっている。 一方固有周期長い構造体では地震揺れ構造物全体に伝わるまでに時間がかかるため、上記解析方法現実と全く一致しない短周期揺れ基礎入力されても、構造体応答する前に方向の力を受けることとなるためである。この違いは、柔らかい棒を立ててゆっくりと揺らした場合素早く揺らした場合動き見れば想像できる。もし構造物固有周期地震波主要な成分よりも十分に大きければ、その構造体が受ける地震力は十分に小さくなるこうした発想に基づき固有周期長くするために構造体全体剛性低くする発想が「柔構造」であり、特に、もともとの固有周期長い高層建築物での構造計算主流となっている。 この事情から、柔構造地震力を「受け流す」とする表現は必ずしも正しくない確かに細部見れば各部材が地震力を直接に受けるのではなくより上部構造流してしまう形となっており、その意味では「受け流すと言えるが、構造物全体考えればやはり地震力に耐えることには変わりはなく、むしろ地震自体小さくするために「地震同調しないと言ったほうが近い。作りの上でも、敢えて剛性抑えることもあるが強度は必要である。力を受けずに「受け流す」のは、むしろ免震構造である。 また、固有周期をもって地震力を「受けないようにする」柔構造では固有周期剛構造よりも精密に求める必要があり、場合によっては特定の部分剛性低くする必要すらある。この計算検討作業には大きな労力が必要である。建築物場合中低層では結果として柔構造として扱えない可能性が高いため、中低層で柔構造的に解析するケースは希である。一方橋梁鉄塔中にはそれほど大きなもので無くとも柔構造として扱えるものもある。 近年ではコンピュータによる構造計算発達したことで、入力され地震力が構造体の中を伝わってゆく様子時系列解析してゆく時刻応答解析呼ばれる手法登場しており、かつてよりも高さのある建築物設計が可能となっているが、この時刻応答解析柔構造親和性が高い。

※この「建築物における柔構造」の解説は、「柔構造」の解説の一部です。
「建築物における柔構造」を含む「柔構造」の記事については、「柔構造」の概要を参照ください。

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