広く配偶行動に関するもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/08 02:05 UTC 版)
「性的二形」の記事における「広く配偶行動に関するもの」の解説
哺乳類の場合、雄に角や牙がよく発達する例がよくある。例えばシカの角は雄にのみあり、冬にだけ出る。これらの動物では、繁殖期の配偶行動の一環として、雄同士が力比べや闘争を行うため、その際の力を増すためにそれらが発達したと考えられる。カニ類のシオマネキの巨大な鋏や、クワガタムシの大顎、カブトムシの角などもこの範疇である。これらは同性間で直接に競争するための構造である。 他方、鳥や魚では雄が繁殖期に派手な色彩や飾りの羽根や鰭を発達させる例がある。これらは、やはり繁殖期にこれを誇示するものである。鳴く虫(コオロギ・キリギリス)やセミの発音装置、あるいはホタルの発光器もこの例である。これらは、異性に対してアピールし、選んでもらうための構造である。 これらの構造や色彩は、クジャクのように常に見られるものもあるが、シカの角のように繁殖期にのみ出現するものもある。特に繁殖期にのみ発現する体色を婚姻色と言う。 チョウ類は一般に翅の模様で雌雄の情報伝達が行われる。そのため、翅の模様に性差がある例は少なくない。例えばミドリシジミ類などは、雌雄で全く異なる彩りを持つ。モンシロチョウでは、我々の目には差が見えないが、実は紫外線の反射率が大きく異なる。彼ら自身は紫外線を感じる能力があり、従って雌雄の別を視覚的に区別出来るものと考えられている。 異性探索のために器官が発達する例もある。また、昆虫では雄に特に発達した触角をもつ例がある。例えばカイコやヤママユガなどは、雌はほとんど幅のない細い触角を持つが、雄のそれは節ごとに長い横枝が出て、全体では櫛か羽根のような形状になる。これらの昆虫は、雌の発する性フェロモンを手掛かりに雄が雌を探すために、そのための感覚器官が発達したものである。当然ながら相補的に、それに対する異性にはフェロモンを分泌する器官が発達するが、こちらの方は目立たない。しかし、これも二形のひとつである。
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