希求法
希求法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/01 08:22 UTC 版)
「古代ギリシア語の動詞」の記事における「希求法」の解説
希求法(optative)はギリシア語でεὐκτική(euktikḗ、「希望のための」、"for wishing")と呼ぶ。これは、動詞のεὔχομαι(eúkhomai、「私は望む」、"I wish")の派生語である。 希求法(optative mood)の語形は語尾のοι (oi), αι (ai), ει (ei)で容易に識別できる。 条件文で未来における仮定を表す。主節に小辞のἄν (an)を付けて仮定の意味(英語の"would"に相当)を付加する。 ἡδέως ἂν λάβοιμι, εἰ διδοίη. hēdéōs àn láboimi, ei didoíē. 「彼がくれるならば、私は、喜んで受け取るだろう」 ("I would gladly take, if he were to give") これに対し、現在と過去における仮定は希求法ではなく、直説法の未完了過去、アオリスト、過去完了を小辞のἄν (an)ともに用いて表す。 希求法は過去における伝聞にも用いられる。 εἶπεν ὅτι θῦσαί τι βούλοιτο. eîpen hóti thûsaí ti boúloito. 「犠牲を払うことを望んでいると彼は言った」 ("He said that he wished to make a sacrifice") 接続法は現在と未来において「~するときはいつでも」("whenever")、「~するときまで」("until such time as")などの意味を表すが、希求法は過去における同じ意味の従属節で用いられる。ただし、この場合は小辞のἄν (an)は付けない。 ἐθήρευεν, ὁπότε γυμνάσαι βούλοιτο ἑαυτόν. ethḗreuen, hopóte gumnásai boúloito heautón. 「彼は、運動したいときにはいつでも狩りをしていた」 ("He used to hunt, whenever he wished to take exercise") 希求法は望み・希望の表現に用いられる。 ὃ μὴ γένοιτο. hò mḕ génoito. 「それは起きてほしくないことだ!」 ("Which may it not happen!") 過去における目的の従属節や、過去における恐れの表現に用いられる。 ἐκάλεσε γάρ τις αὐτὸν ὅπως ἴδοι τὰ ἱερά. ekálese gár tis autòn hópōs ídoi tà hierá. 「誰かが彼に、いけにえの内臓を見るように要求した」 ("Someone had summoned him so that he could see the sacrificial entrails") ἔδεισαν οἱ Ἕλληνες αὐτὸν μὴ τύραννος γένοιτο. édeisan hoi Héllēnes autòn mḕ túrannos génoito. 「ギリシア人たちは、彼が専制君主となる場合を恐れていた」 ("The Greeks were afraid of him in case he might become a tyrant") こうした従属節には、ヘロドトスやトゥキディデスでは接続法を用いていた。
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