州法との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 23:22 UTC 版)
「著作権法 (アメリカ合衆国)」の記事における「州法との関係」の解説
「アメリカ法#連邦法と州法の関係」も参照 連邦法たる合衆国法典 第17編 (一般的に米国著作権法と呼ばれているもの) と州法による著作物の保護の間で矛盾が起きた場合、どちらが優先されるのか。これについては合衆国憲法 第6編第2項の「連邦優位条項(英語版):103」(Supremacy Clause) が適用される。これに関連する判例としては、1964年最高裁判決「シアーズ・ローバック対スティフル裁判(英語版)」(376 U.S. 225 (1964))や1989年最高裁判例の「ボニート・ボーツ対サンダー・クラフト・ボーツ裁判(英語版)」がある。 しかし州法が完全に否定されているわけではなく、連邦法で著作物性がないとして保護の対象外になっているもの (法的保護の想定外) を、州法で追加保護することは認められている。たとえば#著作物の定義で述べたとおり、連邦法で守ることができる著作物には、何らかの媒体に固定されていること、また創作性が必要であることが合衆国憲法の特許・著作権条項から解釈されている。しかし、未固定の著作物を州法で権利保護している州が一部ある。特に、未発行の著作物に対する複製権と頒布権の保護を「コモンロー・コピーライト (common law copyright)」と呼び、未発行の著作物が連邦法で十分カバーされていない場合でも、州法で保護されることがある。 カリフォルニア州の民法典を例として取り上げると、その第980条で実演や演説などの未固定著作物も保護している。また同法典の第985条では、書簡その他の私信 (手紙) などは、その作成者の意に反して書簡の受領者が発行してはならないとされる。さらに、同法典の第982条によると、純粋美術の原作品を著作者が第三者に譲渡した場合であっても、譲渡契約書で特段の定めがない限りにおいて、著作者は複製権を持ち続ける。逆に芸術作品の著作権のみを譲渡した場合は、第988条の規定に則り、原則として著作者に作品の所有権は残る。加えて、その美術作品が販売された場合、かつ売り主がカリフォルニア州住民であるか、売買がカリフォルニア州で行われた場合は、その売買代金の5%相当を売り主から著作者に支払う義務が第986条で規定されている。なお、美術作品の売買代金の一部を著作者が受け取れる仕組みを「追及権」と呼ぶ。2013年時点で世界76か国が追及権制度を導入済であり、特に欧州連合 (EU) は2001年に追及権指令(英語版)を成立させたことから、EU加盟国すべてが追及権を国の著作権法などで保障している。
※この「州法との関係」の解説は、「著作権法 (アメリカ合衆国)」の解説の一部です。
「州法との関係」を含む「著作権法 (アメリカ合衆国)」の記事については、「著作権法 (アメリカ合衆国)」の概要を参照ください。
- 州法との関係のページへのリンク