小山 清とは? わかりやすく解説

こやま‐きよし【小山清】

読み方:こやまきよし

1911〜1965]小説家東京生まれ太宰治師事庶民の生活を描く短編小説中心に執筆太宰回想する随筆残した。作「落穂拾ひ」「朴歯(ほおば)の下駄」など。


小山清

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/30 05:20 UTC 版)

小山 清(こやま きよし、1911年明治44年)10月4日 - 1965年昭和40年)3月6日)は、日本の小説家太宰治の門人としても知られる。

人物

東京府東京市浅草区新吉原(現在の東京都台東区千束)の廓内に生まれる。生家は兼東楼という貸座敷業を営んでいたが、盲目の父は家業に関係せず義太夫を謡っていた。

府立三中を経て、明治学院中等部卒業。18歳のとき人生への煩悶から洗礼を受けるも、数年で脱会。母の死後、一家離散の憂き目を見る。島崎藤村の世話で日本ペンクラブ初代書記になるも、公金を使い込み、水戸刑務所に8ヶ月間服役する。出所後、下谷竜泉寺町界隈で新聞配達をしていたが、1940年に太宰治の門人となる。太宰が戦時中に疎開している時期、太宰宅の留守を預かる。

第二次世界大戦後まもなくは炭坑夫として夕張の炭坑で働き、2年足らずを過ごす。この時期に太宰が死去し、後年の『風雪』(1950年7月号)に追悼文として、「風貌」を寄稿する(『開運!なんでも鑑定団』〈2024年9月3日放送分〉でその作品に記されていた、太宰作品の愛好者の"S君"の娘と結婚した相手の父親が、太宰の自筆の葉書を依頼品として出演した)。

同じ頃から太宰に預けていた原稿が売れるようになり、作家となる。1952年に『文學界』に発表した「小さな町」や『新潮』発表の「落穂拾ひ」など、一連の清純な私小説で作家としての地位を確立。1951年に「安い頭」が第26回芥川賞候補に、1952年に「小さな町」が第27回芥川賞候補に、1953年「をぢさんの話」が第30回芥川賞候補にあげられた。

1952年、亀井勝一郎夫妻を仲人にして、18歳下の関房子と結婚。1953年に長女美穂、1955年に長男穂太郎が誕生。

1956年、同人誌「木靴」を創刊。題はシャルル=ルイ・フィリップの言葉に因んだもので、後に芥川賞を受賞する弟子の[1]宮原昭夫などが同人として参加した。

1958年、心臓障害による脳血栓から失語症となる。以後は妻の稼ぎに依存しつつ生活保護を受けて暮らしたが、1962年4月13日、生活の困窮からノイローゼ気味であった妻が、練馬区の雑木林で睡眠薬ブロバリンを服用して自殺

リハビリを行いながら執筆活動を続け、1965年『新潮』5月号に掲載された「老人と孤独な娘」が絶筆となった。同年3月6日、急性心不全で死去。53歳没。

長男は、東京藝術大学美術学部絵画科教授の小山穂太郎[2][3]

著書

「わが師への書」「聖アンデルセン」「落穂拾ひ」「夕張の宿」「朴歯の下駄」「安い頭」「桜林」
  • 『小さな町』(筑摩書房) 1954
「小さな町」「をぢさんの話」「西郷さん」「離合」「彼女」「よきサマリア人」「道連れ」「雪の宿」「與五さんと太郎さん」「夕張の春」
  • 『犬の生活』(筑摩書房) 1955
「犬の生活」「早春」「前途なほ」「西隣塾記」「生ひ立ちの記」「遁走」「その人」「メフィスト」
  • 『幸福論』(筑摩書房) 1955
  • 『落穂拾ひ / 聖アンデルセン』(新潮文庫) 1955、復刊 1994
  • 『落穂拾ひ 他六篇』(角川文庫) 1957
  • 『日日の麺麭』(筑摩書房) 1958
「スペエドの兵士」「麻雀」「ゴタ派」「啓吉」「紙幣の話」「ある靴屋の話」「紅いサンダル」「クラ爺や」「捨吉」「日日の麺麭」「聖家族」「旅上」「浅草」「痼疾」「栞」「風貌」
  • 『二人の友』(審美社) 1965
  • 『小山清全集』全1巻(筑摩書房) 1969
    • 『小山清全集』増補新装版・全1巻(筑摩書房) 1999
  • 『落穂拾い / 雪の宿』(旺文社文庫) 1975
  • 『風貌 - 太宰治のこと』(津軽書房) 1997
  • 『日日の麺麭 / 風貌 小山清作品集』(川西政明解説、講談社文芸文庫) 2005、新版 2014
  • 『小さな町』(堀江敏幸解説、みすず書房大人の本棚) 2006
  • 『落穂拾い / 犬の生活』(三上延解説、ちくま文庫) 2013
  • 『風の便り』(夏葉社) 2021
  • 『小さな町 / 日日の麺麭』(ちくま文庫) 2023

編纂

  • 『太宰治の手紙』(編、木馬社) 1952
    • 改題新版『太宰治の手紙 返事は必ず必ず要りません』(河出文庫) 2018
  • 『太宰治集』(編、河出書房、市民文庫) 1953
  • 『太宰治研究』(編、筑摩書房) 1956
  • 『太宰治 近代作家研究アルバム』(編、筑摩書房) 1964

伝記

  • 『評伝小山清』(田中良彦、朝文社) 2008
  • 『青い波がくずれる 田中英光 / 小山清 / 太宰治』(戸石泰一、本の泉社) 2020

外部リンク

脚注




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