専用の翻訳プラットフォーム構築
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/24 05:17 UTC 版)
「国境なき翻訳者団」の記事における「専用の翻訳プラットフォーム構築」の解説
国境なき翻訳者団は創設以来、緊急時の特殊な情報を必要な言語に翻訳する使命を追及していた。ところが創設15年を過ぎた2010年、ハイチ地震と津波災害によって、災害時には発生直後の緊急事態に対応する情報に加え、復興には平時の情報を入手できるかどうかにより、被災地の人々の生活の質をわけると知られるようになった。情報の量の大きさと一定の翻訳品質の確保というジレンマに対し、ProZ.com(英語)は作業の手間を省くことに着目、機械翻訳システムを組み込んだオンラインの翻訳プラットフォームを構築し、2011年5月「作業場」として国境なき翻訳者団に提供した。これを翻訳者団は翻訳サービスを希望する非営利組織の登録、翻訳原文の受け付けと翻訳プロジェクト(英語)を企画する媒体として使用、登録ボランティアは掲出された課題から担当するものを選んで作業を行なった。 共通の機械翻訳システムを利用する以前と比べると、オンラインで作業管理をする方式を取り入れ作業効率は大きく向上した。手作業で翻訳の進行管理をした2011年1月時期の生産性は29件、翻訳原文3万7,000単語を7言語に対訳して9団体に提供している。2011年11月に作業場が稼働し始め、7カ月後に当たる2012年6月の生産性は合計183件28万語、原語と翻訳語の組み合わせは25対で翻訳の提供先は24団体である。さらに3年後 (2015年) の発表によると訳文は700万語・780件成立し、提供先は214組織である。 この作業場を更新し、翻訳メモリとコンピュータ支援による作業工程を追加するのは2017年初頭で、新しい作業空間は多言語翻訳・通訳者で同時通訳者の草わけのひとりロンブ・カトーの名にちなみ「Kató」と呼ばれている。同年6月、国境なき翻訳者団はアイルランドに本拠を置く登録非営利組織のロゼッタ財団と合併。世界のさまざまな言語により情報へのアクセスを平等にし、貧困解消、医療助成、教育の開発と正義の促進に結びつけようとしている。
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