寿司と助数詞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 09:17 UTC 版)
握り寿司は1つを「1かん」と数え、「貫」の文字を当てることが多い。しかしこの呼び方が書物に出てくるのは1970年代以降の事で、以下に示すような古い文献に「かん」という特別な助数詞で数えた例は見当たらず、いずれも1つ2つ、または1個2個である。 江戸時代末期の『守貞謾稿』、与兵衛鮓主人・小泉清三郎『家庭 鮓のつけかた』1910年、永瀬牙之輔『すし通』1930年、宮尾しげを『すし物語』1960年のいずれも1つ2つである。ただし、寿司職人の間で戦前の寿司一人前分、握り寿司5つと三つ切りの海苔巻き2つを、太鼓のバチ(チャンチキ)に例えて「5かんのチャンチキ」と呼んだと紹介されている(篠田統『すしの本』1970年増補版)。 寿司を「かん」と数えた例は、1970年(昭和45年)以降からで、国語辞典での最初の採用は、2001年(平成13年)刊行の『三省堂国語辞典 第五版』である。昭和後期のグルメブームの時に一般に使われるようになったと言われる。握り寿司を2つに切って提供することが標準化した時代はない。 戦後広まった2丁づけは、切ったのではなく最初から2つに握ったもの。「ひとつ一口半」とされていたサイズが現在のサイズに切り替わったのは明治の中頃から戦後昭和の半ばまでの間と言われており、小さくなっても、昭和の中頃になるまで寿司は1つずつ給仕されていたという記述もある。一方で、2つで1かんと数える人々もいるが、由来は不詳である。 「かん」の語源は諸説あり定かでないが、海苔巻き(もしくは笹巻き寿司や棒寿司などの巻いた形式の寿司)1つを「1巻」と数えたことからという説。江戸時代に穴あき銭に紐を通して銭50枚を一つなぎした「貫」から転じたという説、重さの単位「貫」から転じたという説などがある。
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