室町と晩年
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1989年(平成元年)、足利義政を主人公とした『室町少年倶楽部』を皮切りに、資料面の不足などから当時敬遠されていた室町時代を舞台にした“室町もの”と呼ばれる作品群を発表した。この中には、以下のような作品がある。 『婆沙羅』 - 南北朝時代に、ばさら大名と呼ばれた佐々木道誉の奔放な人生。 『室町お伽草紙』 - 少年時代の豊臣秀吉を中心に、京に集った若き日の織田信長・武田信玄・上杉謙信の物語。 十兵衛 三部作の完結編『柳生十兵衛死す』(1991年(平成3年)発表) 『柳生十兵衛死す』は「小説を書くとその分命を縮める」と考えていた山田が書いた最後の小説でもあるが、実際は白内障や糖尿病、パーキンソン病を次々患ったことで執筆活動そのものが困難になっていたとされる。そのためか晩年には、アイデアはあると語っていたが、小説にすることはなかった。室町時代を舞台に蓮如を狂言回しとして、八犬伝の犬士たちが活躍する室町ものの構想もそのひとつであるが、もし執筆されれば室町ものと忍法帖とのあいだの年表上の空白を補い、「忍法八犬伝」、「八犬傳」とあわせて八犬伝三部作ともいえる作品になったはずであった。なお、室町・戦国・江戸・明治・戦後初期と、それぞれ舞台とした小説の空白期間である、大正期・戦前期についての作品を書いて、風太郎サーガとして「時代の流れをすべて続ける」構想もあった。 90年代は随筆や対談、インタビュー集が出版されたが、その中でもパーキンソン病にかかった自分自身を見つめたエッセイ『あと千回の晩飯』は出色の出来である。 2001年(平成13年)7月28日、肺炎のため東京都多摩市の病院で死去。命日である7月28日は奇しくも師の江戸川乱歩の命日と同日である。
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