実際の猿[要出典]
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 17:12 UTC 版)
無限の猿定理は(一様)ランダムにキーを打ち続けたらどのようになるかを論じたものであるが、実際の猿は自身の思考なり好みなりに応じてキーを打つ可能性がある。では実際の猿が意味のある文書をタイプする可能性はあるだろうか。 これに対し霊長類行動学者のチェニー (Cheney) とセイファース (Seyfarth) は、実際の猿が『ロメオとジュリエット』を作り出すという望みをかなえるには運に頼るほかなかろうと評した。猿の仲間 (ここではチンパンジー) は心の理論を欠いており、自身の知識、感情、信条を他者のそれと区別できないと考えられる。したがって猿は、たとえ戯曲を書いて登場人物の行動を叙述することは習得できたとしても、登場人物の心中を描き出してアイロニーに満ちた悲劇を組み立てることは到底できないという。 2003年、プリマス大学(英語版)メディア研 (MediaLab) 芸術コースの講師と学生たちが、Arts Council(英語版)から2,000ポンドの助成を受けて、実際の猿が生み出す文芸作品を研究した。イングランドのデヴォン州ペイントン動物園(英語版)にある6匹のクロザルの檻の中に、コンピュータのキーボードを一月の間放置し、結果を無線接続でウェブサイトに配信した。調査員のひとりマイク・フィリップス (Mike Phillips) は、費用を抑えたためにテレビ画像に比べると迫真性に欠けるようになったが、そのために「かえって刺激的で蠱惑的な見栄えになった」とした。猿たちはなにも生み出さないどころか、5ページものほとんどがSの字からなるテクストを生み出した。もっとも、最初は雄のボスザルがキーボードに石を叩きつけていたし、その後も猿たちはキーボードの上で排尿や排便を繰り返してはいたが。動物園の学芸員は、この実験を「科学的価値はほとんどない。ただし、『無限の猿』の理論には欠陥があることを明らかにした」と評した。フィリップスは、この芸術家によるプロジェクトは本来パフォーマンス・アートなのであり、自分たちはそこから「おそろしく多くのこと」を学んだと語った。彼は次のように結論づけている——「〔猿は〕乱数生成器ではない。それよりもはるかに複雑精妙なものである。〔中略〕猿たちは画面に映し出されるものに強い関心を示し、字を打つとなにかが起こるのを眺めていた。そこには一定の意図が働いていた。[要出典]
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