実際の測定手順
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 03:30 UTC 版)
「ミリカンの油滴実験」の記事における「実際の測定手順」の解説
電界中で落下している油滴に働く力は次の4つである。 重力 : F g = 4 3 π ⋅ r 3 ⋅ ρ ⋅ g {\displaystyle F_{\rm {g}}={\frac {4}{3}}\,\pi \cdot r^{3}\cdot \rho \cdot g} 浮力 : F A = 4 3 π r 3 δ g {\displaystyle F_{\rm {A}}={\frac {4}{3}}\,\pi r^{3}\delta g} 空気抵抗(ストークスの式による): F R = 6 ⋅ π ⋅ η ⋅ r ⋅ v ∗ {\displaystyle F_{\rm {R}}=6\cdot \pi \cdot \eta \cdot r\cdot v^{*}} 電界 によるクーロン力: F E = q ⋅ E = q U d {\displaystyle F_{\rm {E}}=q\cdot E={\frac {qU}{d}}} ここで: η {\displaystyle \eta } = 空気の粘度 ρ {\displaystyle \rho } = 油の密度 δ {\displaystyle \delta } = 空気の密度 v ∗ {\displaystyle v^{*}} = 油滴の落下速度 r = 油滴の径 U = 電位差 d = 電極間の間隔 g = 重力加速度 である。 重力と電界による吸引力が釣り合った条件が得られたとしても、精度を得るための問題の1つは重力を計算するために必要な油滴の半径の測定精度であると思われる。油滴の半径は0.001mm程度であり、空中に浮遊している油滴の半径を測定することになるからである。しかも重力は半径の3乗に比例するので誤差の影響は大きくなる。 それを避けるために、電界の向きを変えた時のそれぞれの落下速度 v 1 {\displaystyle v_{1}} 、 v 2 {\displaystyle v_{2}} から、電荷量を求める。粘性抵抗による油滴の終端速度は、電場がない時には0.1mm/s程度と非常に遅いため、瞬時に終端速度に達する。電場中でも、仮に終端速度が10mm/sとすると、速度は約千分の一秒程度で平衡になると考えられる。 重力と浮力は同じ形をしているので ϱ = ρ − δ {\displaystyle \varrho =\rho -\delta } とする。 結果は q = 9 ⋅ d ⋅ π 2 ⋅ U η 3 ϱ ⋅ g ⋅ v 1 + v 2 ( v 1 − v 2 ) {\displaystyle q={\frac {9\cdot d\cdot \pi }{2\cdot U}}{\sqrt {\frac {\eta ^{3}}{\varrho \cdot g}}}\cdot {\sqrt {v_{1}+v_{2}}}(v_{1}-v_{2})} となり、電荷量qは速度の差(∝電場の差)に比例する。また半径も求められ r = 3 2 η ϱ ⋅ g ⋅ ( v 2 + v 1 ) {\displaystyle r={\frac {3}{2}}{\sqrt {{\frac {\eta }{\varrho \cdot g}}\cdot (v_{2}+v_{1})}}} となる。半径は電場にはよらないので、速度の平均値(電場がない時の速度)の平方根に比例する。
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