実際の楽器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/07 10:14 UTC 版)
このように、出版楽譜や文字資料によって、「ビウエラ」という楽器が存在し、頻繁に演奏されていたであろうことには疑いの余地は無いが、では、実際どのような楽器が「ビウエラ」であったのかということについては良く分かっていない。その原因は、今日まで残されている「ビウエラ」の数が極端に少ないことにある。16世紀に制作されたビウエラであると信じられている楽器は、現在、世界に3つ知られているのみである。そのうち2つはフランスの博物館にあり、残りの1つはエクアドルで発見されたものであるが、これらの楽器がボディの形状や弦長などにおいて、それぞれ互いに異なる特徴を備えていることから、ビウエラという楽器を定義する構造上の特徴が何であったのかについてははっきりとしない。3つのオリジナル楽器および文献や図像から、ビウエラの形状および構造はギターとほぼ同じだったといえる。その一方で、出版されたタブラチュアによれば、ビウエラは同時代のルネサンスリュートと同様6コースを持ち、調弦も通常はルネサンスリュートと同様、高いほうから4度、4度、3度、4度、4度の調弦であったことがわかる(同時代のギターは通常4コースまたは5コースの楽器であった)。また、リュートやギターとの比較により、ビウエラも複弦(すなわち、2つの弦を一組にして、これらをユニゾンまたはオクターブで調弦する)を持っていただろうと思われる。しかし、コース数以外の細かい点でギターとどのような違いがあったのか、あるいはなかったのかなどについて、決定的な意見は提示されていない。
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