奈良公園の範囲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 13:31 UTC 版)
「奈良公園」の範囲については、(1)一般的に認知されている広義の奈良公園、(2) 都市公園法に基づく公園としての「奈良県立都市公園奈良公園」、(3) 文化財保護法に基づいて指定された文化財としての「名勝奈良公園」の3種類があり、これら3つの「奈良公園」は、それぞれ指し示す範囲が異なっている。 県立都市公園としての奈良公園は、猿沢池、荒池、春日野などの平坦地のみならず、若草山、花山、芳山(ほやま)などの山間部も含まれ、総面積は502.38ヘクタール。うち平坦地が39.82ヘクタール、山林が462.56ヘクタールである。県立都市公園としての奈良公園の範囲には、東大寺、興福寺、春日大社などの社寺境内地は含まれていない。一方、「名勝奈良公園」の指定範囲は524ヘクタールで、県立都市公園の範囲のほか、東大寺(正倉院敷地を除く)と興福寺の境内地も指定範囲に含まれている。春日大社境内地、御蓋山、奈良国立博物館敷地、正倉院敷地は、県立都市公園・名勝のいずれにも含まれない。一方、一般的に認知されている「奈良公園」とは、県立都市公園や「名勝奈良公園」の範囲に加え、社寺境内などの隣接地を含む範囲で、その総面積は660ヘクタールとされている。 広義の奈良公園には、都市計画法および奈良県風致地区条例に基づく「春日山風致地区」、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法に基づく「歴史的風土特別保存地区」および「歴史的風土保存区域」、自然公園法に基づく自然公園(大和青垣国定公園)などの法規制のかかった地区を含んでいる。また、文化財保護法に基づいて指定された文化財としては、「名勝奈良公園」のほかに、国の特別天然記念物である「春日山原始林」、国の天然記念物である「春日大社ナギ樹林」「ルーミスシジミ棲息地」「知足院ナラノヤエザクラ」、国の史跡である「東大寺旧境内」「興福寺旧境内」「春日大社境内」などが存在する。公園内に生息する鹿は、春日大社の神使として古くから神聖視され、人に馴れてはいるが、飼育動物ではなく野生動物であり、「奈良のシカ」の名称で国の天然記念物に指定されている。 都市公園としての奈良公園の始まりは堺県時代の1880年(明治13年)で、この年、当時官有地であった興福寺境内を公園とした(面積14ヘクタール)。その後、堺県が大阪府に編入され、大阪府から奈良県が分離独立したのち、新生奈良県の初代県知事であった税所篤(元・堺県令)の公園地拡張工事の上申を受け、1889年(明治22年)には、東大寺境内、春日野、若草山などの山間部を編入し、面積は535ヘクタールとなった。1949年から1951年(昭和24 - 26年)に寺院境内地の公園指定が解除され、面積は500ヘクタールに減少。1960年(昭和35年)、都市公園法に基づく「奈良公園」としてあらためて告示され、指定面積は502ヘクタールとなった。 県立都市公園奈良公園のうち、平坦部には以下の園地を含む。 登大路園地 - 興福寺境内隣接地(国宝館の北側と東側) 浅茅ヶ原園地 - 鷺池・浮見堂付近 荒池園地 - 荒池付近 浮雲園地 - 大仏殿交差点東側一帯 春日野園地 - 東大寺南大門東側 茶山園地 - 若草山への登り口 東塔跡園地 - 東大寺東塔跡付近 猿沢池園地 - 猿沢池付近 みとりい池園地 - 県知事公舎西側の道路沿いの南北に細長い園地
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