太陽光発電の全量買い取り制移行後に顕在化した問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 15:28 UTC 版)
「固定価格買い取り制度」の記事における「太陽光発電の全量買い取り制移行後に顕在化した問題」の解説
固定価格買い取り制度の中でも特に太陽光発電事業に関しては回収単価(買取価格)が高く設定されたこともあって多くの事業者が参入し、様々な問題が露呈した。 送電容量を超える再生可能エネルギーによる発電容量 電力各社は最大電力需要を想定して必要な容量の送電網を整備している。容量を超えれば大規模停電を招くリスクがある。また、再生可能エネルギーは天候の影響を受けやすく発電量が安定しない為、容量を拡大すれば安定供給に支障が生じる恐れがある。しかし、高額な買い取り価格を当て込んだ多くの業者が太陽光発電に参入した為、2014年には送電できる容量以上の発電容量に達し、電力各社の電力の買い取り受付停止の措置に至り、前述の諸対策が行われた。 高い買い取り枠を確保後、買い取り枠を転売する為に事業を開始しない事業者 事業の認定を受けても、ほかの業者に転売する為など、発電の計画を実行に移さない事業者が多い。 富める者がますます富み、貧しいものはますます貧しくなるという問題 現在の制度は、土地を持ち、太陽光パネルを設置できる者のみが儲け、太陽光パネルを買えない庶民は、儲けるどころか電気代に上乗せされますます貧しくなるという問題を抱えている。2018年度の場合、再生可能エネルギーの買い取り費用は3兆694億円となり、電気代の負担(賦課金)は1kWh当たり2.90円。標準家庭で年間9048円の負担となっている。 メガソーラーの開発に伴う山林伐採や災害時の太陽光パネルの大規模な破損事故 山梨県では山林伐採による景観や防災への影響を懸念する声があがり、県では「やまなしエネルギー地産地消推進戦略」について見直しも含めて検討していくことになった。また、茨城県や宮崎県では大雨で河川が氾濫し、設置してあった太陽光パネルが大破している例が見られる。 マクロ経済的観点からの懸念 不採算事業に対する電気消費者からの割り増しされた支出は、国民に対して大きな負担となることが明らかになっている。そういった事業に対し、海外資本の参入が成されるということは、国富の国外への流出を意味することとなる。実際に日本では、中国の上海電力等の外資によるメガソーラーの建設が多数開始されており、約191.3万kWを予定する独フォトボルトのように1社で認定出力全体の数%を占める例もあるが、WTO等の規定もあり、国内と国外の企業の差別は許されない。
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