大西巨人とは? わかりやすく解説

おおにし‐きょじん〔おほにし‐〕【大西巨人】

読み方:おおにしきょじん

19192014小説家批評家福岡生まれ本名巨人(のりと)。新聞社勤務経て対馬要塞重砲兵連隊入隊戦後近代文学同人となる。昭和27年1952)、評論俗情との結託」で野間宏の「真空地帯」を批判し論争引き起こした長編小説神聖喜劇」を約25年かけて執筆し昭和55年1980完成硬質文体社会問題点を突く鋭い風刺知られる。他に「三位一体の神話」「五里霧」など。


大西巨人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/08 00:23 UTC 版)

大西 巨人(おおにし きょじん、1916年大正5年)[注 1][1]8月20日 - 2014年平成26年)3月12日日本小説家評論家[2]。本名は同じく「巨人」と書いて「のりと」。マルクス主義の立場を堅持し、唯物論的観点から個人の尊厳を創作で追究した。小説・批評のいずれにおいても、常に主体を明確にした、論理性を重んじる文体を用いた。


注釈

  1. ^ 生前の文献(1984年刊行の講談社版『日本近代文学大事典』。この項目の執筆者は小笠原克)には1919年生まれと書いてあるが、2014年の訃報では各紙〈97歳〉と報じた。なお、これは息子の大西赤人によれば、戸籍上正確な生年月日は「1916年8月20日」で、「1919年」は誤記が定着してしまったものであり、本人も特に訂正しなかったものだという(大西赤人twitter:2014年3月13日 12:052014年3月13日 12:06)。また、山口直孝は、生前の大西のインタビューの紹介文で、「1918年(月日は不明)生まれ」としている(『二松學舍大学人文論叢』第86輯(2011年3月)。さらに大西が1995年に発表したエッセイ「ある生年奇聞」では、大西をモデルにしたと見られる「大岩則雄」の実際の生年月日が、戸籍上の生年月日より約1年4か月後であるとする記述もなされている(大西巨人『二十一世紀前夜祭』、125p)
  2. ^ 多くの書評や批評が本書を「モデル小説」と見なしたうえで、登場人物の「尾瀬路迂」を巨人、「葦阿胡右」を井上光晴だと考えた。路迂は、真の小説家であり極端に潔癖な人間として描かれ、一方、胡右は、売れる小説を書く俗物であり卑劣な人間として描かれているため、論争を呼んだ。
  3. ^ 初稿は記録芸術の会の機関誌『現代芸術』1960年10月号から1961年5・6月号まで8回にわたり連載され未完に終わった「天路歴程」(原題「暁の陥穽」)である。
  4. ^ 全四楽章からなる連環体長篇小説である。第一楽章「白日の序曲」の初稿は『近代文学』1948年12月号であり、『地獄篇三部作』の第二部「無限地獄」が本来の場所である。第二楽章「伝説の黄昏」は「黄金伝説」(『新日本文学』1954年1月号)の改訂。第三楽章「犠牲の座標」は「たたかいの犠牲」(『新日本文学』1953年4月号)の改訂。第四楽章「閉幕の思想 あるいは娃重島情死行」の初稿は「娃重島情死行/あるいは閉幕の思想」(『群像』1987年8月号)である。 『地獄篇三部作』前書きで「『白日の序曲』が本来の場所を占有した今日~今日以後、私は、『地獄変相奏鳴曲』を解体し、『伝説の黄昏』、『犠牲の座標』ならびに『閉幕の思想』の三篇を各独立の小説とする。」と記している。
  5. ^ 第二部「無限地獄」は改造社版『精神の氷点』併録・『地獄変相奏鳴曲』第一楽章の「白日の序曲」である。

出典

  1. ^ a b c d e f NHK. “大西巨人|NHK人物録”. NHK人物録 | NHKアーカイブス. 2021年10月11日閲覧。
  2. ^ 「神聖喜劇」創造に苦悶の跡 大西巨人「負けまい」”. 朝日新聞. 2020年2月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月1日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 大西巨人”. みすず書房. 2021年10月11日閲覧。
  4. ^ a b 『大西巨人文選』著者略歴。
  5. ^ 『大西巨人文選 3』349頁。
  6. ^ 大西巨人の巨編「神聖喜劇」 家族が資料を寄託し、見えてきた創作過程 |好書好日”. 好書好日. 2021年10月11日閲覧。
  7. ^ a b c 選別される生命(いのち)-講演:大西赤人氏 – ネットワーク医療と人権 (MERS)”. 2021年10月11日閲覧。
  8. ^ この論争の要点については、北村健太郎の「神聖な義務」論争をめぐって”. 2003年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月12日閲覧。を参照
  9. ^ 大西巨人氏が死去 長編小説「神聖喜劇」など 日本経済新聞 2014年3月12日
  10. ^ 巨人館で公開されていたpdf”. 2023年3月31日閲覧。


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