大学への批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 08:22 UTC 版)
この事件はミッション系で女子の受験生に人気が高い有名大学が舞台となったうえ、当時は現在よりも権威的に見られていた大学教員による教え子不倫殺人という前代未聞のスキャンダルで、さらに一家心中という衝撃的結末から、週刊誌やワイドショーを中心にセンセーショナルに事件が報じられた。とりわけ、複数の学内関係者が殺害の事実を事件直後から察知していたにもかかわらず、大学の体面や内輪の事情を優先して極秘裏に処理することに奔走し、懸命に捜索を続けるK子の両親を無視したかのような立教大学の対応は、遺族のみならず社会から倫理に反すると強く批判された。また、「友情」を優先して40日以上も警察に通報しなかったM助教授、K助教授らの行動も、通報があれば少なくとも一家心中は防げたはずだと捜査関係者から非難された。一方、「J子には最初から事実を告げていました」という大場の遺書は、自首を説得しつつもJ子のショックを心配したM助教授らの配慮を裏切るもので、9月22日に憔悴しきった表情で記者会見に臨んだM助教授は、「大場に友情を裏切られた」と強い憤りを示している。なお、大場が100万円で複数の学生を不正に入学させたというK子の告発文が実家から発見されたとの報道もなされたが、大場は手続きに関与できる立場ではなかったと大学側に一蹴されている。 学内においては、事件発覚直後に一般教養部部長と文学部長が責任を負って辞任し、佃総長も事件に関する調査報告書の完成を待って約1年後に辞任した。また、大場やM助教授の恩師で次期総長と目されたH教授も教え子たちの不祥事で学内行政から遠ざけられ、定年後も名誉教授に就くことができなかった。この事件は、翌年に同じくミッション系の青山学院大学で発生した春木猛教授による教え子強姦疑惑とならび、知識人の集団であるべき大学教員の権威にダメージを与えることとなる。
※この「大学への批判」の解説は、「大場啓仁」の解説の一部です。
「大学への批判」を含む「大場啓仁」の記事については、「大場啓仁」の概要を参照ください。
- 大学への批判のページへのリンク