多様化するミステリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 00:09 UTC 版)
1960年代以降、推理小説は松本清張の『砂の器』などの作品群や黒岩重吾、西村寿行の「社会派」、西村京太郎の「トラベルミステリ」、森村誠一の「ビジネス・企業もの」「歴史ミステリ」、高橋克彦の「美術ミステリ」、山田正紀や小松左京、豊田有恒、筒井康隆らの「SFミステリ」、志茂田景樹の「恋愛ミステリ」、 館淳一や丸茂ジュンの「官能ミステリ」、 山藍紫姫子の『スタンレー・ホークの事件簿』に代表される「耽美ミステリ」など、様々なサブジャンルに分かれていった。 初期には「古墳殺人事件」など、本格ものでペダンティックな作品を書いていた島田一男は、のちに「事件もの」といわれる記者が活躍する小説に転じた。山田風太郎は「忍法帖シリーズ」が有名だが、青春探偵団が活躍する推理小説もあり漫画化された。お色気に満ちた風俗小説とシリアスな経済小説で作風を使い分ける梶山季之にも、『朝は死んでいた』、『知能犯』など推理作品がある。時代もの・SFと多分野で活躍した多岐川恭も、『濡れた心』をはじめ登場人物の心理描写に優れたミステリの傑作群がある。誘拐事件を扱った天藤真の『大誘拐』は、映画になっている。 そのほか、ハードボイルド(大藪春彦や生島治郎、片岡義男、小鷹信光)、将棋や奇術、音楽、法律、山岳、競馬など他の趣味・本業を生かしたミステリ(斎藤栄、泡坂妻夫、戸川昌子、佐賀潜、太田蘭三)、実在する文学者・文学作品(「芥川龍之介の推理」や「川端康成の遺書」などの土屋隆夫)、日常の謎(北村薫、若竹七海)などをテーマや作風とする作家も現れた。佐野洋は「推理日記」のタイトルで、40年にわたりミステリ評論を書き続けた。岡嶋二人は、日本では珍しいコンビによる作家(現在は解消)でデビューした。
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