基礎付け問題とは? わかりやすく解説

基礎付け問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/12 07:41 UTC 版)

有限集合」の記事における「基礎付け問題」の解説

ゲオルク・カントールは、無限集合数学的に扱える集合論構築しようとした。従って、有限集合無限集合区別理論中核存在することとなった基礎付け主義者(foundationalist)の中でも特に有限主義者無限集合存在認めず有限集合にのみ基づいた数学提唱した多く数学者厳密な有限主義制限しすぎていると見なしたが、その相対的な一貫性認めていた。すなわち、遺伝的(hereditarily)有限集合領域は、無限公理をその否定置換したツェルメロフレンケル公理的集合論モデル構成する無限集合擁護する数学者にとっても、ある重要な文脈では、有限集合無限集合形式的区別微妙な問題として残った。これはゲーデルの不完全性定理端を発している。遺伝的有限集合ペアノ算術解釈でき(逆もまた同様)、従ってペアノ理論体系不完全性遺伝的有限集合理論にも存在することが暗に示されている。特に、どちらの理論にもいわゆる標準モデル過剰存在する見かけ上のパラドックスとして、遺伝的有限集合の非標準モデル無限集合含んでいるが、それら無限集合はそのモデル内では有限見える(これは、それら集合の無限性を証明するのに必要な集合関数モデル持たない場合生じる)。不完全性定理があるため、一階述語論理やその再帰的適用では、そのようなモデルすべての標準部分特徴付けることができない。従って、一階述語論理観点からは、有限性おおよそ特徴付けることしか望めない。 より一般化すると、集合有限集合といった非形式的観念は、様々な形式体系公理的機構論理的機構によって解釈される。よく知られ公理的集合論としてツェルメロ=フレンケルの公理系 (ZF) 、ZF選択公理加えたもの (ZFC)、NBG集合論ノイマンベルナイスゲーデル)、非有基的集合論バートランド・ラッセル型理論、および各種モデル理論がある。場合によっては、古典的な一階述語論理各種高階論理直観論理などを選択する場合もある。 形式主義観点では、「集合の意味は系によって異なる。プラトン主義的には、ある特定の形式体系をその根底にある現実近似と見る。 自然数概念論理的に集合前に前提としてある場合集合 S が有限であることを {x | x < n} となる自然数集まりとの全単射として定義できる数学では一般に数の概念集合論基づいて定義するため、例え有限整列集合順序型によって自然数モデル化する。その場合、有限性について自然数基づかない構造的定義が必要となる。 興味深いことに、ZFCにおいて有限集合集合全般から区別する様々な特性は、より弱い体系であるZF直観主義集合論場合とは論理的に等価ではないことが判っている。よく知られている有限性の定義として、リヒャルト・デーデキントの定義とカジミェシュ・クラトフスキの定義がある。 単射だが全射ではない関数 f: S → S が存在するとき、集合 S をデデキント無限集合と呼ぶ。そのような関数は S と S の真部分集合(f の像)との間の全単射表している。デデキント無限集合 S の元 x が f の像に属さないとき、x, f(x), f(f(x)), ... のようにして S の異なる元の無限の列を得ることができる。逆に S の元の列 x1, x2, x3, ... があるとき、この列上の元に対しては f ( x i ) = x i + 1 {\displaystyle f(x_{i})=x_{i+1}} となり、それ以外元については恒等関数として振舞関数 f を定義できる。従って、デデキント無限集合には自然数全単射的対応する部分集合含まれるデデキント有限集合とは、全ての単射自己写像全射でもある場合を指す。 クラトフスキの有限性の定義は次の通りである。任意の集合 S について、和集合二項演算冪集合 P(S) に半束構造与える。空集合単集合から生成した半束を K(S) と記し、S が K(S) に属す場合、S をクラトフスキ有限集合と呼ぶ。直観的に K(S) には S の有限な部分集合含まれる重要なのは、この定義では自然数による帰納再帰も必要とせず、K(S) は単に空集合単集合を含む全ての半束構造積集合として得られる点である。 ZFでは、クラトフスキ有限デデキント有限包含するが、逆は真ではない。

※この「基礎付け問題」の解説は、「有限集合」の解説の一部です。
「基礎付け問題」を含む「有限集合」の記事については、「有限集合」の概要を参照ください。

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