国民経済計算における計測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 20:25 UTC 版)
「GDPデフレーター」の記事における「国民経済計算における計測」の解説
ほとんどの国民経済計算の体系において、GDPデフレーターは名目(nominal)GDPと実質(real)GDPの比を計測する。次の計算式が用いられる。 G D P d e f l a t o r = N o m i n a l G D P R e a l G D P × 100 {\displaystyle \operatorname {GDP\ deflator} ={\frac {\operatorname {Nominal\ GDP} }{\operatorname {Real\ GDP} }}\times 100} 名目GDPをGDPデフレーターで割って100倍する(デフレートする)と実質GDPの価額になる。 日本の内閣府の国民経済計算では、GDPデフレーターを直接作成するのではなく、構成項目ごとにデフレーターを作成して実質値を求め、(名目値)/(各構成項目の実質値の合計)として逆算する。このようにして算出されたデフレーターをインプリシット・デフレーター(Implicit Deflator)と呼ぶ。例として、ある支出項目の個別品目iの基準年におけるデフレーターをPiとして、品目iの名目値をXiとする。当該支出項目の名目値(X)は、ΣiXiとなり、実質値(XR)は、ΣiXi/Piとなる。当該支出項目のデフレーター(P)はX/XRとして求められることになる。 GDPの下位範疇として、ある品目の今年の価格と基準年の価格の比としてインプリシット・デフレーターを考えると有用である。基準年の価格は100に正規化される。 たとえば、ある特定の水準の処理能力、メモリー容量、ハードディスク容量等の性能を持ったコンピューターハードウェアを「単位」として定義する。デフレーターが200になるということは、今年のコンピューターの価格が基準年の2倍になることを意味する(インフレーション)。デフレーターが50なら、今年の価格は基準年の半値である(デフレーション)。公式の統計では物価の下落を示していても、実際には変化がないという状況があり得る。例として新しいコンピューターの価格が同じままで計算能力が年々倍になるとする。デフレーターは50になるが、消費者は同じ金額を支払うことになる。このような考え方で品質変化が盛り込まれた指数をヘドニック指数と呼ぶ。 種々の財・サービスのそれぞれの購入数量をセットにまとめたものをバスケット(英語版)と呼ぶが、いくつかの物価指数と違ってGDPデフレーターのバスケットは固定されておらず、人々の消費や投資のパターンの変化と共に変わる。GDPの各年のバスケットは国内で生産された全ての財のセットで、各財の総消費量の市場価値で重み付けされる。人々が価格の変動に対応して、最新の支出パターンがGDPデフレーターに表れるという理論がある。たとえば、牛肉の価格と比べて鶏肉の価格が上がると、人々は牛肉の代わりに鶏肉によりお金を遣うようになるとされている。 先進国の政府は、財政政策や金融政策の立案、給付金額、社会保障制度などに物価指数を活用しているので、わずかなインフレーションの尺度の違いであっても歳入や歳出が大きく変わることがある。
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