固定型システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 23:57 UTC 版)
「陸上自衛隊のC4Iシステム」の記事における「固定型システム」の解説
陸自指揮システムは陸上自衛隊の基幹となる戦略/作戦級C4Iシステムであり、共通作戦状況図(COP)を提供する。2001年頃は陸自システム(G-NET)と呼ばれた。当初、システムは維持運営区分により次の3つに分類され、下位のシステムはそれぞれ、直近上位のシステムと相互に連接していた。 陸幕システム:陸上幕僚監部及び防衛大臣直轄部隊等に装備されるもの 方面隊指揮システム:方面総監部及び方面直轄部隊等に装備されるもの 師団等指揮システム:師団・旅団・連隊本部に装備されるもの なお、師団等指揮システムは野外型に分類されるため後述する。 平成30年(2018年)に陸上総隊が新たに創設されるとこれらの区分は整理・統合され、陸自指揮システムと陸自指揮システム(指揮管理通信機能)に再編された。これらの指揮システムの基盤となる通信システムとしては、防衛情報通信基盤(DII)が使用されている。 陸自指揮システムはソフトウェアアーキテクチャとして、陸上自衛隊が独自開発したAP2000(Advanced Paradigm 2000)アーキテクチャを採用している。これはのちに、優れた柔軟性などを買われて、3自衛隊の統合運用を見据えた防衛省共通運用基盤(COE: Common Operating Environment)に採用され、これ以降に開発された自衛隊のすべてのC4Iシステムに採用された。これにより、自衛隊のC4Iシステムの相互運用性は飛躍的に向上した。 陸幕システムは、防衛大臣が市ヶ谷駐屯地の中央指揮所(自衛隊最高司令部)で指揮統制する際に使用する中央指揮システムを構成する5つの構成要素のうちの1つとして機能している。他の4つの構成要素は、中央・海幕・空幕・情報支援の各システムである。 固定型システムはクラウド化への転換が図られており、令和元年(2019年)度末から陸自クローズ系クラウドシステム(通称:正蒼院)の運用が始まり、令和4年(2022年)度末までに移行が行われる。これによりシステム毎にサーバーが独立していた以前のシステムと比較して情報の各種処理が向上し、また人工知能(AI)を導入することで更に精度の高い情報提供を行う。 陸自クローズ系クラウドシステムには以下の固定型システムが収容される。 陸自指揮システム 陸自指揮システム(指揮管理通信機能) 陸自情報支援システム 戦術教育システム システム運用教育用システム 弾薬類システム 運用解析装置 指揮所訓練統裁支援システム 飛行管理システム 地理情報システム 陸自電磁スペクトラム管理ツール 陸自クローズ系クラウド基盤はこれらのシステムから入力された情報を継続的にデータベース化し、必要な情報を検索・抽出して、COPの作成・更新、訓練統裁、教育、運用解析等の各種機能をウェブサービスとして提供する。 2021年の段階で、正蒼院は野外端末での運用や、特科隊や指揮所と各中隊間での情報提供が行われている。
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