和菓子と洋菓子の飴細工の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 22:18 UTC 版)
「飴細工」の記事における「和菓子と洋菓子の飴細工の違い」の解説
日本では飴職人は一人前とされる基準として、一日に一斗缶二缶分の水飴を加工して売り物にしなければならず、その重労働ができなくなると、飴を造形する技術を磨き、売り上げを稼いだといわれている。これを紙芝居やキセルの修理屋などのほかの商売の客寄せとして行うこともあれば、職人芸を見世物として独立させ、切り絵のようにその場で客の要望によって作っていくことにより、動物や花などを目の前で仕上げ、楽しませる商売となった。江戸時代に始まった飴細工は「飴の鳥」とも呼ばれた。鳥を主に作ったからだといわれる。 日本の飴細工では手袋を使う伝統がほとんど見られず、豆炭で熱せられた熱いままの飴を素手で練り加工していくので、火傷の危険とは隣り合わせの技術習得となる(そのため、日本伝統の飴細工師の手はボロボロであった)。基本的なものは透明感を残した飴を練ることで空気を含ませて徐々に白くし、基本的な彩色を食紅で施した上でゴルフボール大に丸め、筒状のものを差す。目的に応じて、息で膨らませ、握りばさみでつまみ、伸ばし、刃を入れることで成形していく。棒の先についたまま提供される。大道芸としての親しみやすさから動物・鳥類をモチーフにしたものが主で、仕上げの例としては最終的に成形後にニワトリの鶏冠が食紅で赤く彩られる。屋外の作業を想定した技術のため、道具ははさみや筆など最小限となる。 洋菓子の場合、屋内での作業となるので、専用の洋菓子作り用の道具類がそのまま使われる。練ることで空気を入れ込むというよりは伸ばしたり、もともとの素材で光沢を出しやすくしたりといった手法もとられる。総合的な洋菓子の作品という目的で作られることが主なので、日本の飴細工のように一品で完結するのではなく、細かいパーツも組み合わせた上で「飴によるフルーツの盛り合わせ」や「ドレスをまとった少女」などの総合的なモチーフのものになる。大規模な作品となることも少なくない。単体では植物や果物を作ることが多い。日本の飴細工と比較して着色よりもガラスのような光沢やツヤを強調する傾向がある。 原料となる熱せられた飴 形をととのえる 彩色のようす 彩色のようす 完成した飴細工 完成した飴細工 飴細工の金魚の製作。第1段階 第2段階。大まかな形を形成。 第3段階。胸ヒレを切り出す。 第4段階。細部の仕上げ。ここまで約3分 表面を熱して透明度を高める 彩色なしの完成品 彩色した金魚の飴細工 浅草にある飴細工店「アメシン」の手塚新理の飴細工。金魚の品種「地金」
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