名護のひんぷんガジュマル
名称: | 名護のひんぷんガジュマル |
ふりがな: | なごのひんぷんがじゅまる |
種別: | 天然記念物 |
種別2: | |
都道府県: | 沖縄県 |
市区町村: | 名護市 |
管理団体: | |
指定年月日: | 1997.09.02(平成9.09.02) |
指定基準: | 植1 |
特別指定年月日: | |
追加指定年月日: | |
解説文: | 名護のひんぷんガジュマルは、沖縄島北部の名護市の市街地にあって、路上に生育する巨樹である。 樹高19メートル、胸高幹周10・1メートル、枝張りの長径27メートル、樹冠面積約600平方メートルに及ぶ堂々とした容姿を誇り、樹齢240年と推定される。 ガジュマルはクワ科イチジク属に分類される常緑高木で、アジア・オーストラリアの熱帯及び亜熱帯に広く分布するが、日本では屋久島、種子島を北限とし、琉球列島の低地や石灰岩地帯には極く普通にみられる。 幹や枝から多数の気根を生じ、幹から出た気根は他の幹と〓(*1)着し幹面に凹凸のある大幹を形成したり、幹枝から下垂する細い気根が多数結束して縄状になったものが幾本も垂れ下がるなどの奇観を呈する。また、本樹種はしめころし現象を有することでも知られている。すなわち、ほかの樹上に着生したカジュマルの実生が気根を寄主の幹枝に絡ませつつ生育し、締めつけによりこれを枯死させて大木になることがある。 沖縄の民家建築では、外からの目隠しのためだけでなく、悪霊を防ぐ信仰上の理由から正面の門と母屋の間にひんぷんと呼ばれる〓(*2)風状衝立が設けられることが多い。ガジュマルの木をこのひんぷんに見立てて墳墓の前庭や街なかに植栽することがあり、ちょうど街並みの入口に位置する名護のひんぷんガジュマルは、地元で「ひんぷんがじまる」と呼ばれ神木として大切にされてきた。また、このガジュマルの傍らに旧藩時代に建立された「[[三府龍脉碑]さんぷりようみやくひ]」なる石文がある。この石碑がひんぷんの形状に似ていることからひんぷん[[石]しい]と呼ばれ、そこに生育するガジュマルを地元では「ひんぷんがじまる」と呼ぶようになったともいわれている。 南西諸島はガジュマルの分布北限地帯にあたる。広く自生するほか植栽木も少なくないが、名護のひんぷんガジュマルは現在知られる最大の巨樹であり、今なおその樹勢は旺盛で、その学術的価値は高く、天然記念物に指定し保存を図ろうとするものである。 |
ひんぷんガジュマル
(名護のひんぷんガジュマル から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/04 03:38 UTC 版)
ひんぷんガジュマルは、沖縄県名護市にあるガジュマルの巨木である。幸地川に架かるあなだ橋のたもとにあり、名護大通り(県道84号)に挟まれている。名称は、樹下に置かれている石碑三府龍脈碑の別名「ヒンプンシー(屏風石)」に由来する[1]。「ひんぷん」とは、沖縄の伝統的家屋で正門と母屋の間に立つ、目隠しの塀のことである。
概要
高さ19メートル、気根に囲まれているため幹の周囲長は不明、気根群の周囲長は10メートル、枝の広がる直径は30メートル、樹齢は240年以上[2](あるいは300年以上[1])とされている。1956年(昭和31年)10月19日に沖縄県の天然記念物に、1997年(平成9年)9月2日には国の天然記念物に指定された。名護市のシンボルの一つとされる[1]。
歴史
名護の東江湊(後の名護漁港)近くに生えていたリュウキュウマツの大木に隣接してガジュマルが生え、やがてマツを抱き込みながら成長していった。1695年頃にはすでに有名なガジュマルとなっていた[2]。やがてマツは枯死しガジュマルのみが成長を続けていった。目抜き通り「大兼久馬場」の東端にあたり、西端の「クワディーサー(モモタマナ)の大木」とともに名護の入口を守る木として住民に親しまれていた[3]。
1962年、樹下に三府龍脈碑が設置された。三府龍脈碑はもともと別の場所に置かれていた[4]。
2002年(平成14年)9月の台風16号により幹が傾き倒木の危険性が指摘されたことから、枝の剪定、支柱の追加、施肥などの対策が行われた[5]。しかしながら木の勢いは戻らず、2010年(平成22年)6月1日から2日にかけて大規模な枝の剪定作業が行われ、合計940キログラムの枝が切り落とされた。枝の一部は挿し木により移植され育てられている[6]。
脚注
- ^ a b c 名護市教育委員会社会教育課編・発行 『名護市の文化財・第四集』 p.1、1997年
- ^ a b 『名護市の名木』
- ^ 名護市史編さん委員会編 『名護市史・本編11 わがまち・わがむら』 pp.209-218、名護市役所、1988年
- ^ 名護碑文記編集委員会編 『名護碑文記 増補版』 pp.40-46、名護市教育委員会、2001年
- ^ 沖縄県名護市発行 『市民のひろば 2007年5月号』
- ^ 沖縄県名護市発行 『市民のひろば 2010年7月号』
参考文献
- 比嘉宇太郎 『名護六百年史』 沖縄あき書房、1985年
- 名護市教育委員会社会教育課編・発行 『名護市の名木』 pp.49-50、1984年
- 坂口総一郎 『沖縄写真帖.第1輯』 1925年 「名護の大ガジュマル」として写真掲載 国立国会図書館デジタルコレクションにて閲覧可能
関連項目
- 名護のひんぷんガジュマルのページへのリンク