名称および訳語の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/28 14:21 UTC 版)
「中国本土・香港経済連携緊密化取決め」の記事における「名称および訳語の問題」の解説
日本語の報道機関では「経済貿易緊密化協定」と訳されている。これは香港経済貿易代表部 (東京)など香港政府の出先機関が翻訳したものである。しかし、CEPAのAは“arrangement”である。これに対応する訳語は「取極」であり、協定(agreement)ではない。そのため、日本の官庁や専門家には、「取極」の簡易表現である「取決め」を用いている場合も少なくない。 訳例としては、「経済連携緊密化取(り)決め」(外務省や駐香港総領事館、経済産業省)や「経済(貿易)緊密化取決め」(経産省、香港政治研究者)、「さらなる緊密な経済貿易協力の取り決め」などがある。 CEPAの正文は中国語である。中国語の原文名称を忠実に訳せば、CEPAの名称は「更に緊密な経済貿易関係の樹立に関する取極」である。協定は中国語でも「協定」である。しかし、CEPAにはあえて「協定」という名称を避け、「按排」(取極もしくは取決め)とした。「按排」と「協定」の二つの中国語の間は、異なるニュアンスがある。中国政府はFTAを主権国家間で締結されるものとWTOやGATT規定を異なる主張をしているため、中国語では「協定」の呼称を避け、当初は「FTA類似処置」と呼ばれていた。これは、台湾がFTAを国際社会での活動範囲を広げる政治的な手段に利用するのではないかと、中国政府は懸念し、台湾と第三国のFTAに反対しているという事情がある。香港にFTA締結を認めれば、台湾のFTA締結権能を否定できなくなるからであるとの論説がある。ただし、CEPAについてWTOに地域貿易協定の通報がされていること、香港が2011年以降、ニュージーランド、チリ、EFTA等とFree Trade agreemen を名称に含むFTAを締結しておりこの見解が現在でも妥当であるかは疑問である。
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