同時期の、フックによる引力に関する活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 05:57 UTC 版)
「万有引力」の記事における「同時期の、フックによる引力に関する活動」の解説
王立協会の書記であったロバート・フックは、1665年に刊行した『顕微鏡図譜』で引力の法則についても論じたあと1666年には王立協会で「引力について」(On gravity)と題して講演をおこない、次の法則を追加した。 移動する物体は何らかの力を受けない限りそのまま直進する(慣性の法則) 引力は距離が近いほど強くなる また、フックは1666年に王立協会と交わした書簡において、世界のしくみについて次の3点を述べた。 全ての天体は引力(gravity)によってその各部分を中心に引きつけているだけでなく、天体間で相互に引き付けあって運動する 外部から力が継続的に加わらない限り、天体は単純に直進し続ける。しかし、引力によって天体は円軌道、楕円軌道などの曲線を描く 引力は天体同士が近いほど強くなる。ただし、距離と引力の強さの関係は発見できていない 当時、惑星の運動についてケプラーの法則が学者たちに知られていた。 第1法則 惑星は太陽を焦点とした楕円軌道を描く 第2法則 惑星は太陽に近い軌道では速く、遠いところではゆっくり動き、惑星と太陽とを結ぶ直線が等しい時間等しい面積を掃くように動く(面積速度一定の法則) 第3法則 惑星が太陽を一周する時間(周期)の2乗は、惑星と太陽との平均距離の3乗に比例する また、クリスティアーン・ホイヘンスによる振り子の研究と1659年ごろの円運動の研究が結び付いた結果、中心の引力は半径に比例し周期の2乗に反比例するということが判り、これが1673年の『振子時計』で公表された。この研究成果をケプラーの第3法則を結びつければ、引力は半径の2乗に反比例する、ということはたやすく算出できるようになっていた。 ここで、なぜ惑星はケプラーの法則に従って動くのかが論点となった。当時の自然哲学者たちは、ガリレイたちが作り上げてきた、外力が働かなければ地上の物体は等速直線運動をつづけるとする地上の動力学を使うことを考えるようになっていた。ところが、惑星が直線ではなく楕円を描くということは、太陽の方向に働く引力があることを意味する。 1679年11月24日、フックからアイザック・ニュートンに「惑星の運動に関する私の仮説について、あなたの意見を学会機関紙に投稿してほしい」という手紙が送られた。フックが意見を求めたのは、楕円運動を作り出す太陽に引き寄せる力、すなわち引力の性質についてである。
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