合衆国への宣戦布告
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/29 06:10 UTC 版)
「BIA本部ビル占拠抗議」の記事における「合衆国への宣戦布告」の解説
11月4日未明、AIM議長クライド・ベルコートは合衆国に対して宣戦布告した。女子供の建物外への避難退去が検討され、男たちは死を覚悟した。 この日、合衆国から連邦保安官長官のウェイン・コルバーンが派遣され、本日中の退去を求め、最後通牒を突き付けてきた。連邦保安官はこの日、さらに内務省長官ロジャース・モルトンの、「BIA本部ビル占拠者は保留地のインディアンの多数派ではなく、過激派の集団である」との声明文を渡し、「合衆国は一切の交渉を拒否する」と通告した。 彼らの占拠は様々な支援者を生んだが、これを政治的に利用しようとする者もいた。この日、「聖書長老教会」のカール・マッキンタイアと信者の一団が占拠地前で行進を行い、「我が友人インディアンよ、ベトナム戦争を支援しよう」と叫び、「モルトン辞めろ」の大合唱を行って内務省とインディアン両者を唖然とさせた。 この日、ついにホワイトハウスから呼び出しがかかった。リチャード・ニクソン大統領側近でマイノリティー担当のレオナルド・ガーメントが会見を申し入れてきたのである。しかし彼らはデニスやクライドらAIMではなく、AIMではない「アメリカインディアン国民会議」メンバーの、「穏健派」のボブ・バーネットを会見相手に指名してきた。 また同じころ、もうひとりのニクソンの側近ブラッド・パターソンと、AIMのジョージ・ミッチェル、アニタ・コリンズ、ハンク・アダムスとの会談が行われた。両会談とも不調に終わり、占拠がもう長くは続けられないことと、押収書類の重要性が再確認された。コピー用紙が尽きたので、ラッセルやデニスは、コピーともどもオリジナルのBIA内部文書を見つからないようごっそりと運搬車両に運び込んだ。 11月5日、AIMはニクソン大統領と最高顧問のジョン・アーリックマンとの会見を要求したが、彼らはこれを拒絶した。事態は膠着状態となった。スーザン・ショーン・ハルジョが占拠解除後にアーリックマンにインタビューしているが、彼によるとニクソン大統領が発した言葉は「その忌々しいインディアンたちを町から追い出すように」の一言だけだった。 11月6日、裁判所が退去命令を出し、期限を午後6時とした。インディアンと警官隊の双者睨みあいの中、いよいよ流血の機運が高まり、AIMではビル爆破やむなしとの声も出たが、クライドやデニスは反対した。2階部分にガソリンや可燃物を配置したものがおり、緊張感は高まった。ラッセル・ミーンズは「死ぬには良い日だ」と叫んで火炎瓶を手にしたが、オレン・リヨンズは彼に「それは出来ない。あなたが人を殺せば、あなたが伝えたいことはすべて台無しになる。これは戦争じゃなく、闘争なんです」と強い口調で説得しやめさせた。一方、大統領選挙を翌日に控えた合衆国は強制排除を二日間延長した。
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