各地の味噌田楽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 05:30 UTC 版)
現在では味噌田楽は、醤油味のだし汁で煮込んだおでんとともに、日本全国で食べられポピュラーな料理になっている。また、郷土料理や名物料理といわれる味噌田楽が各地に伝えられている。 東北地方においては、岩手県の北部一帯では昔からハレの日には豆腐の味噌田楽を食べることが多く、手作りの豆腐を短冊にし串に刺して囲炉裏の火のまわりに立てて、あぶってにんにく味噌をつけ熱いところを食べる。味噌にはにんにくの他、山椒、根生姜などを加えることもあり、三陸海岸の久慈市や野田村・岩泉町などでは町おこしにも役立てられている。福島県では会津若松の名物料理のひとつに、鰊、生揚、里芋、こんにゃく、餅などを竹串に刺し独自の味噌を付けて炭火であぶった田楽があり、白虎隊の隊士や新撰組の土方歳三も食べたという「お秀茶屋」などの田楽茶屋では、囲炉裏の周りに田楽を楽しみにやってきた多くの人が集まる。 東海地方では、東は静岡県浜松市あたりから西は愛知県岡崎市にかけて菜飯田楽を出す店が多く、他にも静岡県菊川市や愛知県犬山市、岐阜県岐阜市の岩井山付近などでも菜飯田楽が知られており、かなり遠方からも客が通う店がある。特に愛知県豊橋市には文政年間(1818年-1830年)創業の「きく宗」 があり、東海道五十三次の吉田宿の名物料理のひとつであったと言われる赤味噌の豆腐の田楽と菜飯をセットにした菜飯田楽を、現在も地元の名物料理として前面に出している。 同じ愛知県の津島市には、尾張地方中南部の名物でもある生麩を揚げて赤味噌を塗った「麩田楽」がある。 三重県伊賀市でも、文政13年(1830年)創業の「田楽座わかや」が、一子相伝でその技術を代々受け継ぎ、伊賀名物の「豆腐でんがく」を作りつづけ老舗の味を守っている。 1,000年の都である京都では、八坂神社南楼門前の2軒の腰掛茶屋のうち鳥居西側にあった「藤屋」は明治時代に廃絶したものの、東側の柏屋(現在の二軒茶屋「中村楼」)が京名物の祇園豆腐を今に伝えている。 九州では、大分県や熊本県の郷土料理として田楽が伝えられており、なかでも阿蘇地方の田楽は、豆腐のほか、鶴の子芋と呼ばれる里芋に加え、サワガニやヤマメなどを使ったこの地方独特の野趣あふれる田楽である。
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