双子素数の予想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 18:00 UTC 版)
数学上の未解決問題双子素数は無限に存在するか。 素数が無数に存在することは古代ギリシアで既に分かっており、ユークリッドの『原論』に証明がある。これに対し、双子素数は無数に存在するかという問題、いわゆる「双子素数の予想」や「双子素数の問題」は、いまだに数学上の未解決問題である。無数に存在するだろう、とは、多くの数論学者が予想している。 双子素数問題そのものについては、古代ギリシア時代から知られていたとの記述あるいは示唆が多く見られるが、何らの確証も存在しない。文献の上で確認できるものは、A. de Polignac (1849年) の言明である。彼は双子素数予想を一般化して任意の偶数を与え、それを差とする素数の組が無数にあるか、という問題を提出している。 上からの評価式など部分的な結果があるが、その中でも漸近公式の予想は注目に値する。双子素数の組の数の漸近公式はハーディ・リトルウッド予想の一部であり、これは素数定理と似通った次のような双子素数の漸近的な分布公式を予想している。 x 以下の双子素数の組の数は、漸近的に 2 C x ( log x ) 2 {\displaystyle 2C{\frac {x}{(\log x)^{2}}}} 、あるいは 2 C ∫ 2 x d x ( log x ) 2 {\displaystyle 2C\int _{2}^{x}{\frac {dx}{(\log x)^{2}}}} で与えられる。後者の積分による表示式の方が良い近似を与える。ここで、定数 C は次のような無限積で定義される。 C = ∏ p > 2 { 1 − 1 ( p − 1 ) 2 } = 0.6601 ⋯ {\displaystyle C=\prod _{p>2}\left\{1-{\frac {1}{(p-1)^{2}}}\right\}=0.6601\cdots } この定数 C は「ハーディ・リトルウッド定数」の一つである。 この問題は、特に2素数の場合のゴールドバッハの予想に密接に関係しており、篩法などの研究者によって双方の研究が同時に進められてきた。 2004年5月に、「双子素数が無数に存在することの証明」と題された論文が Richard Arenstorf によって提出され、上記のハーディ・リトルウッドの予想は正しいと主張したが、内容に重大な誤りがあるとして著者自身によって撤回された。
※この「双子素数の予想」の解説は、「双子素数」の解説の一部です。
「双子素数の予想」を含む「双子素数」の記事については、「双子素数」の概要を参照ください。
- 双子素数の予想のページへのリンク