化学構造の提唱とは? わかりやすく解説

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化学構造の提唱

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/15 15:32 UTC 版)

アレクサンドル・ブートレロフ」の記事における「化学構造の提唱」の解説

最大業績化学構造概念を明確した1861年講演とされている。ブートレロフは1857年留学ケクレの下に留学している。ちょうどこの年ケクレ型の説基づいてメタンの型、すなわち炭素原子価が4価であることを提案しており、ここで最新有機構造化学に関する諸事を学ぶことができた。また、アドルフ・ヴュルツ元にケクレとともに原子価説の提唱者として知られるアーチボルド・クーパーがおり、彼の構造概念構築大きな影響与えた考えられている。またヘルマン・コルベの根の説もブートレロフの研究大きな影響与えている。ブートレロフは留学先学んだ理論合わせて化学構造概念構築した。 ブートレロフは1861年講演でこれらの理論総括し分子中の原子間の結合様式化学構造命名し、「分子化学的性質はその成分元素性質と量、化学構造による」と述べた。ここでブートレロフは従来型の説根の説での構造式に対して用いられていたConstitutionという語に代わってStrukturの語を用いたケクレその先駆者であったシャルル・ジェラールにとっては構造式実験的事実である化学反応をうまく説明するためのものであってそのような構造静的実在するとは考えていなかった。反応起こす瞬間だけ特定の構造現れるではないかという見方(これはジェラールアレクサンダー・ウィリアムソン唱えていた)もケクレは完全には捨てていなかった。当時原子はまだ実在確認されておらず、結合その本性は不明であり、これらはあくまで化学諸法則を説明するのに仮定する都合がいいといった程度のものであったからである。ブートレロフもそれについては留保しており、この化学構造物理的な実体指してはいないと主張している。 しかし化合物がただ1つ化学構造持っている考えることによって、その化合物化学的性質すべてを演繹的に導くことができると考えた。また化学構造決定する方法として、既知化学構造を持つ物質原料として特定の結合だけを選択的に形成できる温和な条件での合成か、特定の結合だけを選択的に切断できる温和な条件分解して既知化学構造を持つ物質誘導することを挙げている。これは現代でも化学の研究一般的に用いられているパラダイムである。 しかし、この講演はあまり権威のないZeitschrift für Chemie und Pharmacieに掲載されたこと(この時代Annalen der Chemie und Pharmacieの方がずっと権威があった)と、ケクレとその一派化学中心地であったドイツ大きな力を持っていたこともあってケクレ業績焼きなおしただけではないか考えられたこともあり、第二次世界大戦後まで長らく埋もれた状態にあった。ブートレロフの弟子であるウラジミール・マルコヴニコフはこのことについてケクレ一派批判する論文書いてアドルフ・フォン・バイヤーとの共同研究をふいにしている。 ブートレロフの業績再評価ソビエト学会での一つ事件端を発する1951年6月ソビエト科学アカデミー共鳴理論批判呼ばれる大きな討論が行なわれた。これはライナス・ポーリング共鳴理論クリストファー・インゴールドらの有機電子論弁証法的唯物論的でないという理由によって非難され事件である(関連:ルイセンコ論争)。これらはいずれ多数極限構造重ね合わせによってある化合物性質説明しようとするものであって、それが観念論的だと非難されのである。ここで拠り所となる理論としてブートレロフの理論大きく取り上げられた。この事件西側化学雑誌でも取り上げられることとなり、結果としてブートレロフの業績日の目を見ることになった

※この「化学構造の提唱」の解説は、「アレクサンドル・ブートレロフ」の解説の一部です。
「化学構造の提唱」を含む「アレクサンドル・ブートレロフ」の記事については、「アレクサンドル・ブートレロフ」の概要を参照ください。

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