労働契約の開始及び終了
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/02 14:48 UTC 版)
労働契約の締結に際し、使用者は労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件について明示しなければならず、そのうち法定の事項については書面(労働条件通知書)に記載して労働者に交付しなければならない(ただし、労働者が希望すれば、書面でなくファクシミリや電子メール等でも良い。)。また、労働者の就業を妨害することを目的として、あらかじめ第三者と謀り、国籍、信条、社会的身分または労働組合運動に関する通信をしてはならない。労働者の募集及び採用を行う場合において、性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならず、予備自衛官または予備自衛官補である者に対して不利益な取扱はしてはならない。 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とされる。また、一定の公益通報者に対する解雇も無効とされる。 業務上の傷病の療養のための休業又は産前産後休業の期間及びそれからの復職後30日間のうちに解雇することは禁止されている。労働基準監督機関に対する申告を行った労働者を解雇することは禁止されている。 また、内部通報者等に対する報復的な解雇その他の不利益取扱については個別に禁止し、又は無効としている法律がある。 その他労働者が一定の地位にあり、又は一定の行為を行ったことに対する解雇その他の不利益取扱についても個別に禁止している法令がある。 解雇は、原則として、労働者に対して30日以上前に予告しなければならず、30日以上前に予告しない場合は解雇予告手当を支払わなければならない。 無期労働契約において、労働者は2週間前(ただし月給制の場合は賃金締日の半月前、年俸制等の場合は3ヶ月前等)に申し出ればいつでも退職することができる。有期労働契約であっても、労働者はやむをえない事由があれば途中で退職することができ、やむをえない事由が無くても、1年を経過すれば労働者(一定の高度専門知識等を必要とする業務に従事する者及び満60歳以上の者を除く。)はいつでも退職することができる。 労働契約の締結に際して明示された労働条件(労働基準法第15条第1項で明示が義務づけられている事項に限る。)が事実と相違する場合は、労働者は上述の民法の規定等に拘わらず即時に退職することができ、このとき就職のため引越を行った者で当該即時退職後14日以内に帰郷するものに対しては、使用者はその帰郷のための旅費を負担しなければならない。 なお、いかなる事情があろうとも、退職の意を示した労働者に対して労働を強制することは許されないことは言うまでもない。
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