制作への論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/20 09:44 UTC 版)
「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」の記事における「制作への論争」の解説
再撮影版にも、いくつかの問題が発生していることが明らかになっている。ポルトガルでの撮影中、ギリアムのチームは公共物や、トマールの有名修道院でUNESCOの世界文化遺産に指定されているトマールのキリスト教修道院に損害を与えたとして訴えられたと報じられた。この糾弾はポルトガルのニュース・チャンネルRTP1(英語版)発のもので、クルーが「12世紀のトマールのキリスト教修道院で、欠けた石細工や、壊れた屋根タイル、根こそぎ引き抜かれた木などを放置して去った」とされている。ギリアムはこの糾弾を否定し、「[修道院]は自分が観た中で最も輝かしい建物のひとつだと思う。あそこで自分たちがやったことは、建物を損傷から守るためで——ちゃんと成功した。木は1本も切られていないし、石だって壊されていない」「敬意の無いことなんて少しもやっていない。ヒステリックに騒ぐ前に、事実をちゃんと得るべきだ」と述べた。その後、報道が正しいのか判断するため、数週にわたってポルトガル政府による調査が行われ、「ある程度の損傷」("some damage") が見つかったものの、撮影を監督していた修道院職員に報告されていたものだったと分かった。また木の損傷は、以前行われた別の無関係な映画の撮影中に起きたものだとされた。2017年7月4日、ポルトガル当局はギリアムたちクルーが「些細な損害」("insignificant damage") にのみ責任があると結論付け、糾弾は「厳密さを欠き、科学的知識の欠如を明らかにした」ものだったと付け加えた。 加えて、ギリアムが以前再撮影に挑んだ時にプロデューサーを務めていたパウロ・ブランコが、新バージョンは「違法」("illegal") であり、映画に関する権利はギリアムではなく自分が持っているので、撮影した素材は全て、以前関与していた制作会社の1つであるアルファマ・フィルムズ (Alfama Films) にあると訴えた。現在のプロデューサー陣は、ブランコの訴えは「馬鹿げたもの」("preposterous") で、彼は「『ドン・キホーテ』に関する何の権利も持っていない」と述べた。レコーディド・ピクチャー・カンパニー(英語版)のCEOを務めるピーター・ワトスンは、「ブランコ氏の法的関係に関する解釈はほとんど悪漢のようだ。もし彼が本当に尊敬すべきドンを殺そうとしているのなら、馬上槍試合でもやればいいんじゃないかな」と述べた。この争いは法廷に持ち込まれ、判決言い渡しが2018年6月15日に決まったことから、当初予定されていた2018年5月のフランス公開と第71回カンヌ国際映画祭でのプレミア上映は、延期を余儀なくされると考えられていた。その後、パリの裁判所で上映を認める判決が下ったことから、カンヌ国際映画祭のクロージング・フィルムとして上映されることが正式決定した。6月15日に言い渡された判決では、ブランコの訴えを認めて映画化に関するギリアムの権利を剥奪したとされ、世界各地での公開については再び白紙となった。映画制作陣からは、ブランコが判決について誇張しており、ギリアム側から金銭の支払いがあるものの、上映権については引き続き制作陣が保持しているとの発表があった。このインタビューに答えたプロデューサーのマリエラ・ベスイエフスキーは、米国公開の見通しが立っていること、ヨーロッパ公開の調整を行っている最中であることを明かした。
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