初期の合併症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 02:42 UTC 版)
髄膜炎の初期段階で、別の問題が生じることがある。これには個別の治療を必要とし、重症化したり予後が悪化したりする場合もある。感染が敗血症、全身性炎症反応症候群、血圧低下、頻脈、高熱や低体温、呼吸促拍等を惹き起こす場合がある。初期段階に過度の低血圧がみられることがあり、他臓器に充分な血液を供給できなくなる。特に髄膜炎菌性髄膜炎に多いが、これに限られない。播種性血管内凝固症候群に陥ると血液凝固が過度に活性化され、臓器への血流が阻害されると同時に出血リスクが増大する。髄膜炎菌性疾患では時に四肢の壊疽に至ることもある。重度の髄膜炎菌および肺炎球菌感染では副腎から大量出血してウォーターハウス・フリードリヒセン症候群を発症することがあり、多くは致死的である。 脳組織が増大し頭蓋骨内部の圧力が亢進して、膨張した脳が頭蓋底から押し出され脳ヘルニアになる場合があり、意識レベルの低下、対光反射の消失、異常肢位によって気づくことが多い。また、脳組織の炎症によって脳周囲のCSFの正常な流れが阻害される場合がある(水頭症) 。 小児ではさまざまな原因からてんかん発作を来たす。てんかん発作は髄膜炎の初期段階によくみられ(全症例の30%)、必ずしも根本的な原因を示すものではなく、頭蓋内圧亢進や脳組織の炎症から生じる。部分発作(腕や脚、体の一部分に生じるてんかん発作)、持続性発作、遅発性発作などの投薬によるコントロールの難しい発作があると長期転帰が不良になりやすい。 また、髄膜の炎症により脳神経 (脳幹から頭部および頸部に分布し眼球の動きや顔面筋、聴覚をコントロールする神経群)が異常を来たすことがある。視覚系の諸症状および難聴は髄膜炎の症状発現後しばらく持続する。脳の炎症 (脳炎)や脳血管の炎症(脳血管炎)があると、静脈内の血栓の形成 (脳静脈洞血栓症)と同様に脱力感や感覚の麻痺、損傷を受けた脳の部位に応じた身体の異常運動や機能異常がみられるようになる。
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