出身国と動機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 03:54 UTC 版)
「2015年欧州難民危機」の記事における「出身国と動機」の解説
移民の動機の特定には複雑さを伴う場合もあるが、例えばシリア、エリトリア、アフガニスタン出身者などのように大半の移民は戦火を避けるために、迫害から逃れるために国をでた難民である。国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、2015年の9月中旬の時点では地中海を越えた移民のうちの82%が上位10位にランキングされる難民産出国の出身である。移民の出身国別にみると、2015年の最初の四半期にEUの加盟国に提出された難民申請のうち7カ国の審査通過率がそれぞれ50パーセントを越えている。例えば難民申請をしたシリア出身の移民の94%は難民と認定され保護されている。以下、エリトリア(90%)、イラク(88%)、アフガン(66%)、イラン(65%)、ソマリア(60%)、スーダン(53%)の出身者が続く。UNHCRによればこれら7カ国出身の移民は、2015年1月から8月の期間にギリシャに入国する移民の90パーセント、そしてイタリアにたどり着く移民の47パーセントをそれぞれ占めている。 アラブの春以降のISIL台頭も難民発生の起因となっている。また、難民をうむ直接の原因となっている戦争・紛争としてシリア内戦(2011-)、イラクにおける戦闘(2014-)、アフガニスタン紛争(2001-)、ソマリア戦争(2009-)、ダルフール紛争(2003-)が挙げられる。最も抑圧された国のひとつとして数えられるエリトリアの難民は無期限の徴兵と強制労働から逃れるために国を出ている。 西バルカン(コソボ、アルバニア)出身の移民と一部の西アフリカ(ガンビア、ナイジェリア)と南アジア(バングラデシュ、パキスタン)出身の移民はほとんどが経済難民であると考えられる。すなわち、貧困や失業から逃れるため難民としての正当な主張なしに国を出た者たちである。一方ナイジェリアやパキスタン出身の移民の中には経済難民に混じって、実際に暴力や戦火(例えばナイジェリア北東部におけるボコ・ハラムの反乱やパキスタンのワジリスタン紛争)から逃れるために国を出た者が存在する。 難民、移民らは既に形となっている中東やアフリカの難民コミュニティよりも寛大な社会保障や待遇を期待できる国への定住を優先的に考えている。フランスは歴史的に見れば人気の高い移民先であったが、ドイツとは対照的に2015年の移民の間では人気を落としている。
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