共同親権の例外
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 17:08 UTC 版)
以下の場合には母または父の一方による単独親権となる。 一方が親権を行うことができないとき 父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が親権を行う(818条第3項但書)。「親権を行うことができないとき」には法律上行使しえない場合(親権喪失の審判、親権者の辞任、親権者に成年後見の審判・保佐開始の審判があった場合など)と事実上行使できない場合(行方不明となっている場合、服役している場合、重病を患っている場合など)とがある。 父母の一方が亡くなった場合(失踪宣告を受けた場合を含む)には単独親権となり、双方ともに亡くなった場合には後見が開始する(838条第1項)。 養父母の場合(普通養子縁組の場合)も同様であり、養父母ともに亡くなった場合には838条第1項により実親の親権は復活せず後見が開始されるとする通説(後見開始説。判例として東京高決昭56・9・2家月34巻11号24頁)と、実親の親権が回復されるとみる有力説(実親親権復活説。判例として宇都宮家大田原支審昭57・5・21家月34・11・49)が対立し論点となっている。なお、特別養子縁組の場合には既に実親子関係は切断されているので常に未成年後見が開始し実親の下に親権が復活する余地はない。 離婚協議離婚の場合 協議によって親権者を定める(819条1項、親権者は父または母のどちらか1人、ただし監護者は親権者とは限らない)。協議が調わないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判(調停)をすることができる(819条5項)。 裁判上の離婚 裁判所の決定によって親権者(単独親権)を定める(819条2項)。 なお、近時の外国での法制では離婚時における共同監護の立法例が増しているとされる。 子の出生前に離婚 親権は母が行う(819条3項本文)。ただし、父母の協議によって出生後に変更することができる(819条3項但書)。これらの協議は戸籍上の届出の後に効力を持つ(戸籍法8条)。 嫡出でない子(非嫡出子) 嫡出でない子(非嫡出子)は母の単独親権に服する(819条4項)。父によって胎児認知されている場合にも原則として母の単独親権となる。ただし、父が認知した子の場合には父母の協議によって父を親権者と定めることができる(819条4項)。いずれの場合も母または父の単独親権であり共同親権とはならない。 単独親権者が亡くなった場合について、従来の通説は後見が開始する(838条第1項)とみるが、一方の者に当然に親権が生じるとみる反対説もあり、判例にも一方の者が適任とみられるときは親権者変更の審判を請求しうるとしたものがある。
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